日常茶飯事のほんとの意味
お茶と一席の関係
カフェでいただく一杯次第で、女子会に微妙な変化が起こる・・と常々気づいているワタクシ、ことワタクシです。「あ、このお茶美味しい」って思うときは、なんだかお互いに褒めあったり元気づけあったり。「いまいち?」な一杯だと、静かな攻撃性でマウンティング勃発したり。もちろん、その逆もしかり。お高い玉露をいただいていても、目の前が彼ママでは味も分からず目は白黒。喧嘩中の彼と飲んでも、トゲトゲした気持ちに邪念だらけ。飲み物と感情って、ふかーーーくリンクします。
なので、大切な人といい時間を過ごしたいときは、ここ「日本茶喫茶 ととやとや」に来ます。温度や茶葉、器にもこだわり、急須でゆっくりと淹れる一杯は、心が落ち着いて目前の人との時間を大切にしたくなる。こちらの喫茶は「宇治香園」さんの奥にひーーーっそりと構える・・・知る人ぞ知る一軒。宇治香園といえば慶應元年(1865年)創業の京都のお茶の老舗。
歳月を思わせる屋号の文字や、
趣のある網代(あじろ)の天井。
煎茶、玉露、雁ケ音、ほうじ茶、玄米茶、抹茶といった茶葉の数々。茶道を嗜む方が利用される高級抹茶も並んで、老舗の矜持を魅せてくれます。
お話をうかがったのは浅井店長。昭和21年に心斎橋で店舗を構え、多くのお客様に利用いただいてきた同店が、喫茶を構えて現在の形になったのが12年前。
京都・老舗・・・なんて聞くと、ワタクシには敷居が高く感じられますが、面白い話を聞かせてくださいました。
「“日常茶飯事”って言葉の通り、お茶は普段にいつも身近にあっていいものです」と。いわく、古来から今も、そしてこれからも、お茶と人の心の関わりは基本的には変わらない・・そう。
宇治香園に入社するまでは、流通業に携わっていた浅井店長。幾多のアイテムを流通に乗せ、効率とスピードと目利きの世界で利益を回すマーケットの世界。そこから・・・急須に湯を注ぎ、時間をかけてゆっくりと茶葉を開かせ、一杯を紡ぐお茶の世界へと転身。なんとも興味深い・・・。
お茶を知る人も初心者の方にも「その方の口に好まれるものを」と、お客様への対応もできうる限り時間をかけるそう。「それは、茶葉の高い安いという価格には関係がないんです」と話す口ぶりに、高いお茶=老舗店のイメージがあったワタクシは少々驚き。ここから、宇治香園さんと浅井店長の「お茶」に対する考えを改めて知ることとなるのです。
「では、急須で淹れるお茶ってどんなイメージがありますか?」と聞かれ、「ちょっと贅沢な時間、ちょっと嬉しい時間」と、思いつくままにワードを唱えてみると・・・「では、なぜそう感じるんでしょう」とさらに問いかけられ、モヤモヤに。
そこで見せていただいたのが「日本茶喫茶 ととやとや」に飾ってあった一枚のポートレートでした。昭和30年代を思わせる茶の間に集まる女性たち。お茶を片手に談笑中の一枚です。そう、誰かと会って一緒にお茶を飲むことこそが「贅沢なこと」で「嬉しい」こと。急須に湯を入れ、頃合を見て、茶碗に注ぐ。一連の流れを体感して、一緒に味わうって、単純にシンプルに有難いことですね。
ストンと腑に落ちれば・・・「日常茶飯事」の真意も見えてくる。
宇治香園の社是は
「茶のこころを世に伝え
よろこびの和を広げます」。
「お茶はそれ自体に価値を置くのではなく、お茶をはさんだ和のつながりが大きな役目ではないかと、私も思います」とは浅井店長の弁。深く納得です。
一緒に飲む人と、喧嘩することも気まずくなることもあるかもしれません。けれど、それは相手とつながりがあるからこそ。一人で急須でお茶を飲むことももちろんあるでしょうが、そのときは誰かのことを思い出したりしています。確かにお茶は人と人をつないでくれるツールのようなもの。いや、もっと味わいや五感で強固に結んでくれているものなのかもしれません。
とはいうものの。ワタクシ、実家を出てウン年になりますが、急須ってしばらく使っていないし、せっかく淹れるのだったら、心地よく・美味しく一緒に飲む人といい時間を過ごしたいのです。いまさら、お茶の淹れ方を学びなおすのも難しそうですが・・・。
「ご安心ください」と言いながら浅井店長が見せてくださったのは、急須で淹れるお茶講座「いちわん茶会」の案内でした。
14年前から続く当講座は、お茶を自分で淹れたことがない、初心者さんから、 普段のお茶を、もっとおいしく淹れたいこだわり派まで、
堅苦しい礼儀作法は抜きで、誰でも楽しんでいただけるお茶の淹れ方教室。
講座内容は、「まずは基本の お煎茶講座」や「ちょっと上級 玉露の講座」。それぞれ1回ごとに完結の講座で、その他、「新茶を楽しむ」「冷茶の楽しみ」「ほうじ茶、玄米茶」など季節に合わせた講座も開講しているのだとか。
場所は「日本茶喫茶 ととやとや」で先着8名様というから・・・興味のある方は早めにお問い合わせを!
お茶の世界って、特権的でクローズドなものだと思っていたのですが、もっと奥深くて温かいもののよう。そういえば小さい頃、カンカンに怒った母親が淹れるお茶はカンカンに熱かったり、祖母は毎朝ひとりでお茶と梅干で「ひとりお目覚め」していたし、父親はついぞ自分でお茶も淹れなかったなぁなんて思い出したら、遠くなってしまった、もうリアルでは逢えない人たちともつながりました。
- 【講座内容】
「まずは基本の お煎茶講座」「ちょっと上級 玉露の講座」
「新茶を楽しむ」「冷茶の楽しみ」「ほうじ茶、玄米茶」
(それぞれ1回ごとに完結の講座です)
会費:各講座1,500円
定員:各講座8名(お申込み先着順)
時間:約1時間15分程度(盛り上るともう少し長くなることもあります)
場所:宇治香園大阪心斎橋店
日程などの詳細情報は、
ブログ( http://blog.ujikoen.co.jp/totoyatoya/ichiwan)でご確認ください。