年末、だけでは終わらなかった。年始からも続く、パーティに飲み会に女子会に。暴飲暴食が重なり、心身が悲鳴を上げている、そこのアナタ。野菜をめいっぱい胃に満たして、身体の自然な調和を取り戻したいですよね。たとえば、1日のうちの1食だけでも、そんな食事に置き換えてみる。これ、けっこー効きます。

取材に来ましたのはOrganic & Vegetarian Cafe Atl（アトル）さん。2010年にオープンした当カフェももう5年目。まだ知らない方に向けて、ざっくりとご説明を。Atlはキッチン＆スィーツ担当の北澤さんとバリスタであるオーナー様の2名で運営する全20席弱のこじんまりとしたカフェです。2013年の末にフード＆ドリンクの全般をベジタリアンからヴィーガンに一新。つまり、肉・魚類はもちろん、卵や乳製品などの動物性素材を一切用いていません。

野菜は無農薬。産地から直送される瑞々しい旬野菜を使用。さらには、スパイス関連も全てオーガニック。実は…ワタクシも大昔、レストラン業界で仕入れ担当なぞをしておりましたので、野菜もスパイスもこだわりをもって揃えるという事が、容易ではない事を熟知しております。とっても困難な道のりで今のカフェスタイルを構築されたのではないでしょうか？

「いえ、そんなに。ほんとに、ご縁と偶然から幸運な事に今のスタイルに」と話すのは北澤さん。ニッコリ笑顔の自然な雰囲気が、本当に素敵な方。元パティシエールで、伝統のフランス菓子はもちろん、料理・カフェを併設した店舗で経験を積んだそう。子供やお年寄りにも喜ばれるもの…と、考えたカタチが当店。安心であること安全であること、そして心身が寛ぐことを大切にされています。

そんな北澤さんの相棒がこのオレンジルクルーゼ。北澤さんの調理法方は一風変わっています。食材には「陰」の性質を持つものと「陽」の性質を持つものがあり、それらを調和させる考え方が、すなわち調理法とも連動するのです。陰のものから陽のものへ、オレンジルクルーゼの中に順番に重ね、最小限の水で加熱。鍋の中で起きる対流が、素材そのものの味を活かすとともに、潜在的な力も引き出します。そうして、出来上がった料理は……感想はのちほど。

続きまして、当カフェの魅力のもうひとつ「コーヒー」です。なんと豆もオーガニック。生で仕入れた豆は、バリスタであるオーナー様が信頼を置く方に焙煎を依頼。店頭では一杯一杯、豆を挽いて提供されます。注文の度に一杯ずつ。挽きたて淹れたての温かなワンカップ。

そんなオーナー様の相棒がこのエスプレッソマシン。エスプレッソマシンの彫刻家と呼ばれるオランダのベステン氏による作品。メカニカルな部分はエスプレッソマシンの一流メーカーであるラ・マルゾッコ製。日本国内にはまだ数えるほどしか存在しません…というウンチクはワタクシが勝手に調べ上げた情報でして。当のオーナー様からは「友人から譲り受けたのが縁で…」と、なんとも控えめな、遠慮深くも、静かな、紹介でございました。

このマシーンが動き出すとき…どうか皆様、オーナー様の手元を注視してみてください。カップの中に絶妙に蒸気やコーヒーを受け取る“両手”です。このマシンはなんとフットペダル式なのです。「両手が集中できる、だから納得の一杯が叶います」との事。そうして、出来上がった一杯は……感想はのちほど。

さて。それでは前菜からいただきます。フレッシュの葉野菜と薄くスライスの根菜が山盛りです。こんなに食べられるのか!?と思った矢先！フォークが止まらなくなりますよ。クシュクシュっと歯で感じるテクスチャー。えぐ味や雑味ではなく、うっすらと苦味を伴った葉野菜の甘味。あーーー、野菜ってこんな味だったのか、と覚醒します。

続きまして、自家製ベーグルのフムスサンドと本日デリのプレート。国産全粒粉のベーグルは自然な甘味を伴って。ひよこ豆と白ゴマでペーストとなったフムスと相性抜群です。そして、特筆の逸品がココットに入ったデリ。大豆や茄子といった野菜の煮物は、食感がしっかり活きています。最小限の塩と水で、重煮調理法によって加熱された素材同士の調和がお見事。やさしくてクリアな風合いです。

食後には淹れたてのソイラテを。ゆっくり香りを愉しんで、口に含み、喉へと流します。思わず、溜息がもれるほどの寛ぎ。只今、16時。もう…この時間そのものを味わってるって感じ、贅沢とはこおいうこと。目をつむって、ふた口み口と…。

お2人の人柄もあいまって、寛ぎつつも取材は終了。間違いなく「通いたくなる一軒」です。身体はもちろん、心も潤いたいあなた！ここで過ごす時間はスペシャルです。是非とも心斎橋でのお買い物途中、休憩やランチにお立ち寄りください。