「大阪みたらし小餅」

皆様、戎橋の前にあるお土産屋さんご存知でしょうか？あそこは特に人通りが多いので、ついつい早足になってしまいがちなのですが、今度通るときは注目してみてください。エントランスにドカーンと積まれる看板商品がコチラっ！

「大阪みたらし小餅」です。これって、生菓子なんですよ。賞味期限は2～3日。1週間もありません。そんな生菓子をこんなにも並べるなんて。店奥にもガンガン積んであります。なんて強気なんでしょうか！商店街のあらゆる店舗の中でもトップクラス、まさに度胸千両な強気度合い。

お店の屋号は「万菓堂」さん。大阪ならではのおみやげ物から本格的な和菓子まで、幅広く取り扱っておられます。お菓子のお土産屋さんって、賞味期限のことを考えたら、当然、焼き菓子が多くなるわけで。廃棄ロスを恐れればそれはとーぜんのこと。にもかかわらず…

「大阪みたらし小餅」のサイドを固める和菓子たちも「栗大福」などの生菓子が！これら商品は、旬の果実などを使うので定期的に入れ替わるのだとか。「ニッポンノオカシ、スゴイデスネ！」そうなんです、季節の味覚を味わう…そんな和菓子文化を大切にされている、お土産屋さんなんです。

話を「大阪みたらし小餅」に戻しましょう。これにはちょっとおもしろい逸話があります。この話を聞かせてくれたのが店を切り盛りする店長の多田さん。御歳の頃は、皆様のお母様と同じくらいでしょうか。品物をそろえたり、お店を整理されたりと、常に手を動かしていらっしゃるチャッキチャキの大阪の商い人！

約5年前のある日、多田さんが店頭に立っていると、若い女子たちがドッと押し寄せて「大阪みたらし小餅」ばかりを買い占めて行くではありませんか。聞くともなしに会話を聞くと、どうも他府県から来た女の子ばかり。そんな事が幾度もあって、多田さんはお客さんの女の子に聞いてみた。「なんでみんな、この商品ばかりお買い求めになられるの？」

そうしたら「え、知らないんですか？」と、むしろビックリされたという。なんでも、とあるアーティストさんがブログで紹介して、楽屋見舞いも差し入れも、自分のおやつにもお使いになっているのだとか。そのアーティストのことを知らなかった多田さんは、その女の子からアーティストさんについていろいろと教えてもらったのだとか。

「大阪みたらし小餅」の看板の表側にはそのアーティストさんの写真がいーーーっぱい貼ってあります。この店に訪れたそのアーティストのファン達が勝手に写真を貼っていくのだとか（笑）つまりは、ファンたちの聖地となったのでした。遠くは北海道や沖縄、さらに遠くは中国のファンまで。ワールドワイドに常連さんを捉えたのは、アーティストさんの魅力でもあり、「大阪みたらし小餅」の美味しさでもあり、多田さんのお人柄でもあり。

さて、そんな「大阪みたらし小餅」のお味、とっても気になりますよね。ね？ね？スペック紹介いきますよ。団子にみたらしのタレを絡めてあるのが「みたらし団子」。こちらのみたらし小餅は、お餅の中に関西風の醤油だれが入っています。

餅は、国産石臼挽きのお米で作られています。添加物も保存料もゼロ。だから、「早く、美味しく食べて欲しい」というのが製造元からのメッセージです。う～ん、つくづく「一般的なお土産」にはありえない、薄利多売とは真逆のこだわり商品。今年で26周年を迎える、息のながーい人気商品なのです。

綺麗に焼き目をいれた、真っ白な小餅たち。なんとも可憐ではかなげです。

可憐な一個に、躊躇なく包丁をグッサリ。なかからトローリと出てきたのは関西風醤油だれ。

お餅は箸で持ち上げると、クタンと伸びるほどのやわらかさ！

口に入れると、不思議！あんなに伸びるお餅なのに、弾力はしっかり。硬いんじゃないんですよ、モッチモチなんです。そして口中にひろがるたーっぷりな甘じょっぱい醤油だれ。なにこれ！ホンマにおいしーやんかっっ！

今まで知らなかったのがもったいないくらい「大阪みたらし小餅」にヤラレました。そして「万菓堂」さんの存在を、もっともっと地場のミナミ人に知って欲しい！これは真価ある発見です♪