QUALITY over QUANTITY

今年は西海岸カルチャーから始まった伝説の男性ファッション雑誌が創刊40周年。復刻版も話題に。アメリカ文化を凝縮した新刊など、近年まれにみるほど西に東にと米フューチャーが止まらなかった年でしたかも。レジェンド級の「Whole Earth Catalog」やビートニクの再評価などなどアパレルだけでなく、カルチャーも大忙し。ですが、やはり大注目はフード！西海岸オレゴン州・ポートランドからは、かの名店が心斎橋にエントリー！！大事件なのです。

「せやんなぁ」「かなんなぁ」とジャパンWESTなまりが飛び交うここ心斎橋にWest coastの空気が突如吹き荒れる。見てください、この外観！「風」が見えます、ワタクシには海風が見えるかのようです♪
「CAMDEN’S BLUE ★ DONUTS　心斎橋店」は今年10月にオープン。国内初の路面店。この、なんともいえないブルーにまずは気持ちを上げていきましょう♪

店内すぐ左には、生地を扱うコーナーもあり。長時間発酵させる生地や店内カットのフルーツも、ポートランド本店の味を忠実に再現。冷凍は一切かけず、フレッシュなドーナッツを店内で手作り。

最大の特徴と言えば「ブリオッシュ生地」ではないでしょうか。フランスのヴィエノワズリーの生地感を取り入れ、オレゴン州でドーナッツに仕上げてしまうとはなんとも自由な発想。保存料・合成着色料は不使用、選り抜きの素材を用いて「QUALITY over QUANTITY（量より質）」信条を徹する。いやはや、なんとも硬派なドーナッツの名店です。

メニューもバラエティ豊か。こちらは「ラズベリーピスタチオ」です。ラズベリーとハイビスカスティーを併せたグレーズに、クラッシュしたピスタチオがまぶされています。見た目のカラフルさがハッと目を惹く逸品。ラズベリーの酸味と甘味、そしてピスタチオのコク。こんな組み合わせがあったのか!?と驚きのワンリング。密度の高い、複雑な味わいなのですが、生地はかなりザックリで、そんな緩急も面白いのです。

次は「ヴァローナチョコクランチ」。分かりやすい見た目にホッとした方！嬉しい裏切りが待っています。表面をコーティングするチョコはパリパリと乾くでなく、あくまでトロリ（驚き1）。対比するかのようにクリスピーチョコボールのテクスチャーがポイントに（驚き2）。

食べ進めると、中からはクリームが！カスタード？バタークリーム？？いえ、違います。バニラの名産地マダガスカル産のバニラを使用したクリームは香りの強度に目が醒めるよう（驚き3）。チョコの芳醇な薫香に一歩も退かず、見事に調和されています。ウットリ♪

次は「ブルーベリーバーボンバジル」。ピューレ状にしたブルーベリーに合わせるのは、なんとフレッシュバジルとバーボン！なんで？フルーツに合わせるハーブってミントが定番では？なぜバジル？？？それはひとくち食べてみたら分かりすぎるくらい分かる！

どれくらいの量を惜しげもなく使っているのか分かりませんが、ブルーベリーの華やかな香りと優しい酸味がすごいのです！そして、その酸味と香りを際立たせているのがバジルとバーボン。僅かにスモーキーさを感じさせるバーボンとバジルの爽涼感が鼻を抜けて味わい深い逸品に！ブルーベリーピューレ部分を指で削ぎとると…目に鮮やかな色合いが顔を出すのもご愛嬌♪

次は「コアントロークリームブリュレ」。今回試食させていただいた中でもダントツのオリジナリティでした。表面はパリッとブリュレに。中にはマダガスカル産のバニラを使用したプティングがどっさり。この両者、決して喧嘩しません。それどころか、互いの甘味や香りを相乗しながら、食感の違いも面白く魅せてくれます。

刺さるピペットはオレンジリキュールのシロップ「コアントロー」。柑橘の清涼な香りが秀逸！ブリュレとプティングの甘味を香りの力でさらにさらにと盛り上げてゆきます。食べ進めながら味が変わるドーナッツなんて見たことがありません。

長時間醗酵のブリオッシュベースの生地は、旨味や食感もしっかりとした食べ応え。生地を味わおうと噛み締めれば、グレーズやクリーム、アクセントの素材も口内に広がる。これまでに知るドーナッツとは一線を画しています。

「一言でいえば、冒険の味ではないかしらん。」ガストロノミーなシェフが夜な夜なキッチンで新しい味覚に挑むように生まれる、新しいドーナッツ！皆様、この年末のお呼ばれには「CAMDEN’S BLUE ★ DONUTS」を携えて。「ナニコレ！美味しい！」なワンシーンを楽しみましょうね。