2017.08.01

洋食あんじゅ | 特集 201708

洋食あんじゅ

Store Info

心斎橋の「文化」

ビストロ・ダ・アンジュといえば、心斎橋で1972年から歴史を紡ぐ名店。かのフランスタイヤメーカーの評価を受け続けるビストロで、人(技術)の継承に力を注ぐ一軒です。ワタクシの信条として、内装より食材よりカトラリーよりも「人」を大切にするお店は、絶対に美味しい…というものがありまして、味やサービス以上にお店を選ぶときの重要ポイントとしています。ビストロ・ダ・アンジュはそんなお店。心斎橋が大阪が、守り続けて欲しい「文化」ともいえる一軒だと思っています。

そんな折り…東西に伸びるヨーロッパ通りの一角に…「あれ、こんなお店あったけ???」な不思議な光景が・・・。ほんとに不意を付くように忽然と。

いつのまにこんな店舗ができていたのでしょうか???親しみやすいフォントで「洋食あんじゅ」の文字が。

店内は1階のカウンター席と、

階段をあがって、

2階のテーブル席。

カウンターでは2人のシェフが黙して手を動かします。

そう!ここは先述のビストロ・ダ・アンジュのグループ店「洋食あんじゅ」だったのです。公式サイトによると「ランチタイムはボリュームたっぷりのセットメニューをどうぞ。仕込みを丁寧にした洋食はほかにはない格別の味わいです」とのこと。さっそくオススメをいただきます!

まずは「海老フライとオムピラフ トマト&スパイシータルタル」ブラックタイガーは注文ごとにパン粉を手付け。このパン粉は同じくグループ店のブーランジェリーのものだというから…期待大!このときのシェフの手元に注目!ブラックタイガーの身をキュッとのばし、ギュっギュっとしっかりパン粉をつけて。リズムが伝わってくる所作にうっとりです。

フライヤーは2種。豚カツを揚げる右と主には海老を揚げる左に分けているのだとか。綿密に温度を調整し、ジュジューと揚がっていきます。その間に・・・

トロトロに焼き上げた卵を、玉葱やブイヨン、ローリエで香りよく炊き上げて炒めたピラフの上へ。

その上には、甲殻類のソース「アメリケーヌ」と尻尾までカタチよく揚がった海老。

さらに、タルタルを乗せて出来上がり!

こんなに分かりやすい一品なのですが、実は味覚の層は無限・・・・!?まず、ベースとなるピラフが違う!雑味のないクリアなブイヨンで炊き上げたごはん、海老は弾力しっかりと、そして極めつけがこのソースとタルタル!!

自家製アメリケーヌは甲殻の旨みがジンワリと、そしてタルタルにも甲殻の出汁が使われているから…海老フライと2種ソースが見事に調和!その上、なんだろう…この香辛料??先口、中口、後口にふっと現れて消えていき、バツグンの名脇役を担うのは・・・

「炒茶醤(サーチャージャン)」という韓国のスパイスだったのです!洋食の技「海老フライ」とフレンチの技「アメリケーヌ」や「ブイヨン」、そして韓国のスパイスとは!ボーダレスな発想がすごい★

次は人気の「洋食コンビランチ」。ロースかつ&ハンバーグのセットです。王道であり正統な組合せ♪

同社のグループ店には、フレンチはもちろんイタリアンもあります。ゆえに、このトマトソースもお得意中のお得意。ですが、当店では本格的なトマトソースに“ケチャップ”を加えて、少しの甘味を添加。洋食屋さんとしてのトマトソースを適えているそう。

黒毛和牛と黒豚は3:2の割合に、肉の旨みをトマトが引き立てる絶妙な煮込み具合。

こちらがなんともユニークな「ポテトサラダ」。千切りで揚げたポテトとふわり柔らかなマッシュポテト。上に添えるのはトリュフオイル。創意が詰まっていますね~!

さらに驚きがこちらのロースかつ。こんなに厚みがあるのに、しっとりと柔らか。雑味のないすっきりとした旨みにびっくり。

そうなんです!ここにも洋食あんじゅの円熟極まる妙技が秘められるのです。高温の油で加熱するということ、その火の入り方。加熱によって高まる肉の旨みと、これ以上0.1秒でも加熱されたら損なわれる身の質感。その針の穴を付くような分岐点を捉える、射るような一瞬!

卓上に提供して、お客さんが口に運ぶ瞬間までもを逆算して揚げる技術。そう!ここは「技術」を味わうお店、この手が作るお仕事を「う、うまーい!」と楽しむお店なのです♪

その技を大集合させたのが、こちらディナーのメニュー「あんじゅの揚げもんプレート」。厚切りロースかつ、海老フライ、合鴨のカツレツをワンプレートに!

しっとりとした身の厚切りロースかつには、ピンクの梅塩(自家製)を添えて。塩味と酸味が豚の甘味を引き立てる!

「合鴨のカツ」なんて…味わったことも聞いたこともありません。衣の中で旨みをギュッと増した鴨、口に含むと…あの甘味がジュワ~と口内に広がる!添えるのはハニーマスタード★

夜はワインと合わせて…というのもうなづける!フレンチやイタリアンの正統テクニックを駆使した、技とアイデアの一品、これ、ほんまに、すごいです。

厨房に立つのは、原さんと岩崎さん。ともに調理歴は約20年の大ベテラン!焼く、混ぜる、揚げる、切る…それら高度な技術を注ぎ込み「気軽に味わえる洋食店です」と胸を張ります。

この「技」だけは数値化もデータ化も、ましてや金銭には換えられない、見えない価値。1972年から始まったビストロ・ダ・アンジュのスピリットを、いま「洋食屋さん」として、もっと日常に普段の「食事」に体感できる、希少な一軒。みなさま、是非足を運んでください♪

  • 海老フライのオムピラフ トマト&スパイシータルタル 930円
    ロースかつ & 黒毛和牛×黒豚のトマト煮込みハンバーグ 1280円
    あんじゅの揚げもんプレート 2160円
  • ※価格はすべて税込

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