2020.12.15

心斎橋 紳士録

紳士、紳士。

船場のいとさん、こいさんのお出かけや、南での観劇途中のアプローチ、百貨店や専門店。女性が華やぎ、男性が最高にカッコよかった、かつての心斎橋。もちろん今だってお洒落な街です。そんな心斎橋を「装い」の文化から支えてきた男性たちって、さぞかしさぞかし「粋」であろうなぁと、思いながら「心斎橋 紳士録」では、老舗店舗の「だんなはん」たちをクローズアップ!ダンディズム、が息づく街・心斎橋を探求です♪

「小路奥のアーティスト」
松屋 柴橋店主

昭和21年創業の呉服屋「松屋」さんは、心ぶら通りの小路奥に店を構えます。子供のころからこの街で育ち、呉服屋という家業も相まって、感性を磨かれたその方は…

ご店主、柴橋弘宣様です。本日も和装をお召しです。身体の動きや所作の先にまで洗練された和の品を湛えるご店主様。和洋に美しく身支度をされたご婦人や紳士が行き交う心斎橋の街を、昨日のことのように思い出せると笑み語ります。

個人商店が立ち並び、その時代最新の美意識・美学が詰め込まれた心斎橋の情景は、柴橋さんの郷愁のワンシーン。懐かしそうに目を細めながら話される様子が印象的でした。そんな柴橋さん、実は・・・・・

こんなイラストを描く方なんです。「どこかで習ったんですか?」と思わず聞いてしまったワタクシに「独学ですよ」と笑いながら首をふって。しかしながら、呉服屋さんが描くイラストとしてはどうも違和感。ビートルを背に、アメリカントラディショナルブランドを着こなすカップル…。

そのルーツをひも解くと…。70年代に学生時代を送った柴橋さん。時はまさに「popeye」創刊(1976年)の頃。ファッションもカレッジライフも嗜好も音楽も遊び方も…当時の学生たちが西海岸に憧れたあの時代。心斎橋・呉服屋育ちならではの感度で、その風を“まるごと”楽しんだ学生時代だったそう。今で言う、ファッショニスタやインフルエンサー的存在だったんですね!

心斎橋の情景とアメリカのカウンターカルチャー。一見対極にあるような嗜好を一身に、呉服屋店主とイラストレーターの顔を持つ柴橋店主。和装の美しい所作の奥には、こんな意外なものが隠されていました。柴橋様、ありがとうございました!

「真珠の哲学者」 仲庭ご店主

明治24年創業の真珠専門店「仲庭」さん。当時は着物やかんざしや帯締め、そして万年筆や時計やジュエリーを国外へも通信販売(!?)されていたという「仲庭」さんには、今日も4代目の仲庭さんが店内におられます。
この仲庭ご店主、もはや「哲学者」。ワタクシなんぞが取材に伺っても、逆に質問攻めに合うわけです。それも禅問答!仲庭さんからの問いかけは、いつもただひとつ。「あなたは、どの真珠が綺麗だと思いますか?」その1点のみ。そんな対話の中で、宝飾品の価値とは何か?所有することの意味とは何か?選ぶとはどういうことか?貨幣とはどんな意味を持つのか?そんな疑問がワタクシの中から溢れ出てくるから…ほんっとに不思議!!!ワタクシの自問自答をニッコリとリードする仲庭店主は、もはやソクラテス。ウィットとユーモアと知性がぐるぐると交差する軽快な会話は…さすが老舗店のご店主だ…と脱帽。粋です、粋すぎます。

「洋装の数寄者」ワカイケご店主

さて、次は大正8年創業の洋装店「ワカイケ」さんへ伺ったのですが。。。なんとなんとのご店主ワカイケさんと“すれちがい”。ワタクシが日時を伝え間違えたのか、ワカイケさんがウッカリさんだったのかは、わかりませんが、とにかく期待に胸を弾ませて伺ったワタクシは見事に空振り&傷心。そういえばそうだった、心斎橋の紳士たちは昔も今も“ひとすじなわ”ではいかないんだった。

そんな事情を察して、ご対応戴いたのが…なんとワカイケ夫人。あまりの麗人に、ワタクシもカメラマンもポカンです。かの頃よりパーソナルオーダーを扱ってきたワカイケ洋装店。今年101年目を迎えた同店はワカイケご店主で三代目。文字通り反物の中で育ったご店主は、フッと触れただけで生地の質も取り扱い方も、材質も察知する傑物。

パーソナルオーダーでは「ポケットの位置」ひとつにも、着用される方の動作に無理のないよう丹念なお仕事を施すそう。また、パーソナルオーダーをメインに手掛ける審美眼から「生地×型×その方の肖像」などを複合的に精査。文字通り、世界に1着だけ、その方だけが似合う服作りのプロデューサー。それがワカイケご店主なのです。

次回は必ずやお会いしたい!!!ワカイケ様、また絶対お伺いしますヨ、ワタクシしぶといんです笑

「街を遊ぶプレイヤー」
TMT OSAKA 武田店長

2017年6月に彗星のごとく心斎橋に現れたのが「TMT OSAKA」。ルーツはお隣の堀江です。「堀江カルチャー」を牽引したと書いても過言ではない同店。1900年代〜1970年代の古き良きアメリカアンカルチャーを独自の観点からそれぞれのアイテムに取り入れたデザインやシルエットなどが当時の仕様を細部にわたり再現されておりヴィンテージ好きのファッショニスタから絶大な支持。

店長を務めるのが、こちら武田様。生まれ育ちはやっぱり大阪。10代の頃より、心斎橋~アメ村~堀江のバイブスに慣れ親しむと同時に、スポーツにも打ち込んだ、ある種の文武両道!!もちろん同店のラインや発信する文化に憧れて「 TMT OSAKA」で働き始めることとなり3年。

今も「TMT OSAKA」のファンだというハイティーンのコたち、たっくさんいると思うんです。どうしたらあそこで働けるんだろう…そんな憧れの、まさに体現者。その秘密を探るべく、インタビューを続けます。

小学校から始めた軟式野球。現在も地元のソフトボールチームでチームメイトと練習に励み、試合に出るほどの熱量。そして、時間があればサーフィンも。さらには、同社のデニムへの感嘆するほどの深い造詣!!もう、まさにMr.hobby。そうなんです、武田さん最大の魅力は「好き」をとことん楽しむ力!こんな方たちが次の心斎橋を引っ張っていくのかも!?

「心斎橋 紳士録」いかがでしたでしょうか?新旧に渡る、心斎橋の魅力的な紳士たち。これ、是非とも「淑女版」も決行したい!みなさまどうか、このまとめ記事応援していてください★

■松屋
住所:大阪市中央区心斎橋筋1-5-19心斎橋筋「しんぶら街」なか
電話:06-6252-6829
URL:https://www.matsuyagofukuten.com/

■仲庭
住所:大阪市中央区心斎橋筋2-3-27
電話:06-6211-8686

■ワカイケ洋装店
住所:大阪市中央区心斎橋筋2-2-18
電話:06-6211-2963
URL:http://www.wakaike.com

■TMT OSAKA
住所:大阪市中央区心斎橋筋2-1-24
電話:06-6212-0077
URL:http://tmt-japan.co.jp/

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