2017.03.01

伝説のミツヤライス | 特集 201703

伝説のミツヤライス

Store Info

  • 店名心斎橋ミツヤ
  • 住所大阪府大阪市中央区心斎橋筋2-3-21
  • 電話番号06-6211-4751
  • URLhttp://www.mitsuya.co.jp/
  • AREA
  • 8
  • EAST

わりと深刻な「ひとくちちょうだい」問題。

わりと、物議をかます「ひとくちちょうだい」問題。特に女性に多いそう。いっしょに外食した際に「ひとくちちょうだい」派と「ひとくちあげない」派がモメるという、なんともどうしようもない一幕が繰り広げられるというもの。OK派は「美味しいものはみんなでシェアしよう」と考えるしNG派は「ひとのものを欲しがるなんて下品」と言うし、どちらもモラルが根底にあるから相容れない。ワタクシ?ワタクシはOK派ですよ、親愛・博愛が信条ですからね。

などと考えつつ、やってきたのは「心斎橋ミツヤ」創業は昭和18年(1943年)。それ以前、明治時代から氷屋を営んでおり、冬場に六甲の山上で整氷した氷を馬や船に乗せて、大阪・福島まで運んでいたそうです。女性グループやシニアカップル、ママといっしょのキッズなど、心斎橋の人々を縮図化したような店内は、古き良き喫茶文化、洋食レストランの歴史が刻まれています。いうなれば、心斎橋の「良心」。ここミツヤでヤカラで不遜なお客様をみたことがありません。皆、一応に敬意を払う、そんな一軒です。

店頭には、気になる!POPが。「伝説のミツヤライス」と!「伝説」なうえに屋号をつけた商品。試します、もちろん、取材決定です。

本日、伝説のミツヤライスをご案内いただくのは小笹調理長様。この道40年の大ベテランです。小笹調理長様いわく、この伝説のミツヤライスは2015年の10月に誕生。伝説…というのは、ミツヤ定番の鉄板スパゲティや人気のオムライスなど、先輩たちが作り続けた味をワンプレートにまとめ上げたものなのだとか。1日30~40食は出ており、リピート率も高いそう。満足度の高い商品のようです。

こちらが、伝説のミツヤライス。右サイドがスパゲティミートソース。左サイドがふわふわオムライスのトマトソース。オムライスエッグの上にはポークカツがデン!と乗り、上部には瑞々しい野菜サラダが。なんともまぁ、贅沢なワンプレート。4つのお料理がお皿に乗って、税込み980円の優しい価格!相当に量があるようで、運んでくれた女性スタッフも、ヨッコイショ気味にテーブルに置いてくれました。そして「おまたせしました」と「いってらっしゃい」気味にひとこと。

そう、「いってらっしゃい」だったんです。この後、ワタクシは完全にエトランゼ状態。ワンプレートをめぐる旅の始まりです。

まずは、スパゲティの所在を確認。オムライスエッグをめくると…たーっぷりのスパゲティが。

そして、オムライスの所在を確認。オムライスエッグをめくると…たーっぷりのライスが。

そしてポークカツ。厚みがあります・・・。この先、どうなるんだろう。若干、驚愕。

スパをひとくち・・・。このミートソースの豊潤さ!お肉の旨味はしっかりあって、それでいて飽きのこないクリアな風合い。スパゲティに絡み付いて口中に入ると、しっかりと鼻孔を抜ける香りに、もーーーウットリ。

歳月を重ねながら改良も重ねた、ミツヤのミートソースは、期待以上の印象で、ワタクシほんとうに驚きました。正統な正統なミートソースなのです。

続けざまにオムライスも。一粒ずつにしっかりと味が付いたライスに、ふわふわ卵をのせて。これは懐かしさと「食べたかった定番」の味がどストライク!

酸味を少しだけ尖らせた「プレーンソース」が卵の甘味もライスの甘味も際立たせます。

そして、時間を置いてしまったにも関わらず、パン粉はサクサク、分厚くて柔らかなポークカツ!もうどれが主役かよくわからなくて…夢中で食し続けるこの幸福感。

量もすごいんですが、さらにすごいのが全体の味覚バランスなんです。豊潤なミートソース、酸味の効いたプレーンソース、ライスやスパの甘味、それぞれに異なる食感・旨味。これは、これだけは、誰にもあげたくない。スタートから終了までワタクシだけのもの。「みんなでシェア?」なに寝ぼけたこと言ってんの、これはワタクシが注文したの、ワタクシだけが全てを食べるの。ひとくちだってあげるわけがないでしょ!

そう、たとえるならば、大人のお子様ライス、とでも言いましょうか。口に運んで咀嚼して味わうという根源的な「嬉しい!」がずーーーっと続くんです。大好きな味わい、懐かしくて嬉しい思い出の味わい、我侭な子どもにもどったかのような気分にさせられる味わい!カメラマンが「なんか、スパとオムライスで、女性同士だったらシェアできそうなメニューですね」などと言い出し、そうだねそうだねとうなづいてはみせたけれど…そんなわけないっ!子どもは“独り占め”が大好きですから!

そんなワタクシが我に返ったのは…このサラダでした。ひんやりと冷たく、瑞々しくて、シャキシャキした食感のサラダ。ワンプレートの中で唯一、気を確かに保っていられるアイテムなのかもしれません。ハッと正気にもどったところで、カメラマンさんにも「ひとくちどうぞ」とフォークを進めると…今度はカメラマンさんが子どもに返ったような笑顔で「美味しい!美味しい!」と。これは相当に危険なメニューだと改めて実感したわけです。

そこで、あらためて小笹調理長にインタビューです。素直に、料理の感想をお伝えしたところ…「大人も子どもも、幅広い層が好きな味というのは、正統で定番のものであったりします。その定番や正統は“基本”なくして成り立ちません。それを毎日継続して変わらぬ味を作りつづけること、これが私どもの仕事です」と。そう、新しいものを生むより、定番を守ることはもっと難しい。昭和18年創業のミツヤの調理長様のお言葉はズッシリと重みがあり、深く納得するのでした。

そんな厳しい調理長様も、唯一頭が上がらないのが今年18歳になる娘さんなのだとか!最近はファストファッションの聖地である心斎橋にも興味しんしんのようで、きっと今どきの可愛らしいお嬢さんなんだろうな…と想像。そんな子たちが、また、心斎橋に遊びに来て、ミツヤでお茶を飲んだり、ランチをしたり…、またその子たちがママになって…その子どもが…。とイメージすると、ずっとずっと、今のミツヤが伝説であってほしいと思わずにはいられません♪

  • 伝説のミツヤライス 980円
  • ※価格はすべて税込。

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