1931年

遡ること1931年。心斎橋に一軒の喫茶店が誕生。
その後、洋食屋さんとしても人気を博す不二家レストラン心斎橋店。
1931年ごろといえば…銀座にあの伝説の洋食パーラーが在り、大阪は心斎橋にもレジェンド級の洋食屋さんが誕生した頃。歴史において決して引けを取らない「不二家」。
改めて、その存在感に脱帽です。

そんな不二家レストラン心斎橋店で「いちばん高いモンを食べてみたい」と思い立ったのが、今回の取材のきっかけ。というのも、いつも定番のお気に入りばかり注文してしまうので。そのくらい、ワタクシたちにとって“日常のご馳走”である不二家レストラン。では、このレストランの最高に美味しいものを食べてみようという企画です。

お話を伺ったのは、店長 岡様。「歴史も長く、素材はもちろん技術にも自信がある当店が、皆様にとって身近なレストランであることは、私どもにとっても嬉しいことです」とニッコリ。「ですが、今回は高価格メニューのご紹介、ということで・・・」

「宮崎牛フェア」をご紹介いただきました！全国多々に展開する不二家レストランの中でも、成田国際空港店（千葉）・数寄屋橋店（東京）と、ここ心斎橋店でしか展開していない非常にレアなメニュー。その上、初公開（と、思われる）、心斎橋店の厨房撮影の許可までいただいた次第です！

ところで「宮崎牛」。宮崎牛というブランドが生まれる前から、三重県などで銘柄牛として肥育される子牛の畜産が盛んだった宮崎。宮崎の風土・気候が育むハイレベルな素牛は、1986年に「宮崎牛」というブランドを生み出しました。「宮崎県産の黒毛和種であること」と「肉質等級が4級以上のもの」という厳しい基準を通過した牛だけが、その名を名乗れるという徹底した厳しさ。

その「宮崎牛」を扱うのは、料理人歴35年以上の桶屋シェフと、シェフと阿吽の呼吸でタッグを組む女性スタッフさん。いや、すごい。このオーダーラッシュ時の臨場感！プロの手さばき！流れるような仕事の数々！

175～180℃に熱されるグリル板。この鉄板の温度の「クセ」も知り尽くした桶屋シェフ。

射るような目で、肉の加熱具合を目視しながら、手元は次の仕事を始めています。

焼き上がりには、アルミで包んで肉質をしっかりと落ち着かせながら、肉汁を閉じ込めて。

その間に、桶屋シェフの手はソース作りに取り掛かります。ふわりレモンの香りが立ち昇るソースにバターの一片を加え、休むことなく手を動かし、しっかりと乳化。

次に加熱するのは北海道産のホタテ。こちらはコキールグラタンに仕上がります。

ベシャメルソースとあわせてオーブンへ！

完成がこちら。「宮崎牛赤身肉のステーキ＆北海道産帆立のコキールグラタン」税込2797円。
専門店の風格漂うワンプレートが圧巻！

宮崎牛ステーキを切り分けると…あま～い香りが立ち昇り、肉汁をギュッと溜め込んだレアの断面が現れました。たまりません！

口に入れると…強烈な和牛香！「甘い！」とにかく甘味が鮮烈なインパクト。噛むほどにジワ～っとクリアな脂が広がり、赤身の旨みがドンドンと口内に伝い広がる！

むむむ。さすがの不二家レストラン 心斎橋店。素材はもちろん、技にも幾重にも仕事を秘めて。その上でお見事と唸るのがメニュー構成！ほうれん草や玉葱のソテーに丸ごとのベイクドポテト。

さらには、北海道帆立のコキールグラタン！こちらもホタテの香りが鮮烈で、インパクト大。宮崎牛のステーキを中心に、味覚と食感の構成が素晴らしすぎる！

日常の、いつもの、不二家レストランの、もうひとつの「顔」はここにありました。特別な日やハレ日に選びたい、老舗の洋食屋さん。もういちど書きますが、今現在、日本で宮崎牛フェアを味わえるのは、東京、千葉、大阪で各1店舗。つまり、心斎橋だけなのです。

とはいえ、やはり、ワタクシも皆様も、いろんな思い出がある不二家レストラン。幼い頃から馴れ親しんだ雰囲気はそのままに。大人になった今だから気づける「本物感」もあるのですね。ペコちゃんいつもありがとう。これからもヨロシクね。