2014.06.01

美味しいお茶が淹れたくて

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お茶のひとつも満足に淹れられないとお嫁に行けない

思えば小さい頃、母親に「お茶のひとつも満足に淹れられないとお嫁に行けないよ!」と予言されたことがあります。母上、すごいです。その予言、見事的中しました。水晶もタロットも使わずに、娘の将来を言い当てるなんて、恐山のイタコもびっくり。もしかして、あの時ギュッと握っていた湯呑の茶柱で占ったのでしょうか?母上、まだワタクシ間に合いますでしょうか?ペットボトルでガブ飲みなワタクシにも、近い将来あたたかなお茶の間を築けますでしょうか?

そこで伺ったのが宇治香園さん。創業慶応元年、約150年の歴史を誇る老舗名店は、心斎橋で上質なお茶を提供し70年。「家で気軽に美味しいお茶を飲んで欲しい」との想いから、浅井店長自ら講師となり「急須で淹れるお茶講座“いちわん茶会”」を開催しているのです。会場となる店内併設の「日本茶喫茶 ととやとや」(スィーツも美味しい♪)では、早くも茶女子たちが着席。浅井店長が登場しいよいよスタートです。

さて、まずは「お茶」のおさらいです。浅井店長によると、ペットボトルのお茶が普及した昨今、「煎茶じゃなくて、緑茶が欲しいねんっ」という問い合わせを耳にすることが増えたと。煎茶?緑茶? 別ものじゃないんですか?その答えは“発酵”にありました。
①充分に発酵させるのが紅茶②半分だけ発酵させるのが烏龍茶③蒸して発酵させないのが緑茶
つまり、煎茶も番茶もほうじ茶も、総じて「緑茶」というわけです。のっけから思い込みを覆され、この後の展開がますます楽しみに。

さて、浅井店長のお話は続きます。緑茶の特徴はその成分にあり。アミノ酸やカテキンが豊富に含まれ、また紅茶や烏龍茶にはほとんど含まれていないビタミンCも。えっ、ビタミンC?それってお肌にも良いのでは。それにしても、ゆっくりていねいに解説される浅井店長。この日はなんと小学生の女の子も参加していたのですが、うなづきながらメモを取っていました。分かりやすい、ほんとに聞きやすいです。

次は、お茶の風味に関する解説です。ポイントはなんといっても温度。風味の特徴は大きく2つに分けられます。旨味と甘味の「アミノ酸」と、渋味と苦味の「カテキン&カフェイン」です。たとえば、甘いお菓子と一緒に食すならば渋味と苦味の一杯を楽しみたいですよね。そんな時は、煎茶を85℃くらいの高めの温度でお湯で淹れる。そして、お茶そのものを大切に味わいたいときは、玉露や雁ケ音をセレクトして、70℃のお湯でゆっくり淹れる。そんな風味と湯温と茶種の表を頂いてしまいました。これは、ワタクシの秘蔵といたします。ここぞというときに必ずや助けてくれる一枚です!

「ほな、お茶でもいれましょか」浅井店長の号令で実技がスタートです。今日は渋味と旨味が調和する「煎茶」を入れてみます。まずはお湯を湯呑に8分目ずつ注ぎ、ある程度湯を冷ましながら湯呑を温めます。その間に、急須に茶葉を入れます。一人前の分量は約3g(ティースプーン山盛り1杯分)。ここまでは楽勝。さて、いよいよ…。

お湯を急須に注ぎます。煎茶と相性のよい湯温は80℃。急須の中でも湯温は下がっていくので、湯呑を温めるときと急須に入れるタイミングで80℃であることが好ましい。ここは何度も実践して、体得したいものです。砂時計をひっくり返し、待つこと1分。この間に茶葉はグングンと開き、香りと風味を広げてゆくのですね。ここで急須選びのポイントも伝授。一番気にかけたいのは茶葉が充分に開く仕様かどうか、とのこと。網をはめ込むタイプは茶葉が縮んだままになってしまうのでお薦めはできない、とのことでした。メモメモ…。

では、最後に湯呑に注ぎます。量と濃さを均等にするため、ゆっくり少しづつ湯呑へ。ふわり…薫香が漂い始めました。あー落ち着くこの香り。二煎目や三煎目も美味しくいただけるよう、最後の一滴まで注ぎ切ります。この時茶葉は湯を無くして固まるのです。なので、トンと軽く叩くように卓上に置きます。では…一服を楽しみましょう。

澄んだ淡い緑色がほんとにキレイ。香りを一気に吸い込み、ひとくち。ほのかな渋味を感じた直後に、旨味がサッと広がります。いつもガブガブ飲んでいるペットボトルとは大違い。芳醇でいて清澄。爽やかな後口は、また次の奥深さを求めてふた口、み口と続けて口中へ…。ほかの参加者の方からも「ホッ」と味わう吐息が聴こえます。

頭の中がスッと冴えて、心が静かに静まってきました。お茶って、こんな効果があるんですね。浅井店長は言います。「一番大切なのは“気持ち”。難しく考えないで一杯の味わいを楽しみたい気持ちが、その風合いを深めてくれるのですよ」
忙しいときや心がザワザワしているとき、一杯のお茶をゆっくり淹れて、気持ちを切り替える…。ものの5分のことなのに、1日のリズムを整えてくれるお茶。これからの生活に是非とも取り入れたいものです。浅井店長、ありがとうございました!

  • 【講座内容】
    「まずは基本の お煎茶講座」「ちょっと上級 玉露の講座」
    「新茶を楽しむ」「冷茶の楽しみ」「ほうじ茶、玄米茶」
    (それぞれ1回ごとに完結の講座です)

    会費:各講座1,500円
    定員:各講座8名(お申込み先着順)
    時間:約1時間15分程度(盛り上るともう少し長くなることもあります)
       日曜日の講座は内容を一時間に濃縮した充実の講座です。
    場所:宇治香園心斎橋本店ととやとや
    日程などの詳細情報は、
    ブログ( http://blog.ujikoen.co.jp/totoyatoya/ichiwan)でご確認ください。

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