2023.11.29

機械やAIでは代替えできない、
「人の手の仕事」で紡ぐ。
絶品パンケーキがその証です!

それは、やっぱり『512CAFE&SWEETS』だから。

512CAFE&SWEETS

もう説明の必要がないほど周知徹底されていることとは思いますが、あらためて『512CAFE&SWEETS』のおさらいです。東京は港区の赤坂にあるカフェの神話的名店。なにゆえ神話的かと言えば、そのコンセプトを“セレクトカフェ”としている点。国内・海外の作り手が真摯に手をかけた素晴らしい素材を、ひとつのメニューに集約。四季すらもスイーツに映し出す流麗さ。クリエイターたちとコラボする意欲的メニューなどなど。客人と素材を創意で結びつける…ひとつのコミュニティのようなハブのような役割を果たしているのです。

「セレクトカフェ?なんかセレクトショップみたいやんな」と思った、そこのアナタ。なかなかにスルドイ着眼です。と言いますのも、こちら店長の高橋様や同社のオーナー様は…実はアパレル界にいらしゃった傑物たち。いわゆる「外食・飲食」の枠に収まり切らず、また、いわゆるゴリゴリ経営スタイルのように高利益(低原価)や記号的広告に専心するでなく、『512』というクランから生みだす新しい価値を追い続ける求道的な存在。安易なトレンドスィーツ消費とは一線を画す一貫した姿勢。

そんな姿勢で生み出した期間限定メニューがこちら『CANDIED SWEET POTATO 大学芋パンケーキ』だったりします。このメニューがどんな真価を秘めているのか…は、後述です、ちょっと待ってね。ここで先に書いておきたいのは「512で提供するすべてのメニューは“五感で楽しむ”」という高橋さんの言葉。その真意にいま、しっかりと顧客たちが「反応」をしています。休日ともなれば行列必至の『512CAFE&SWEETS』。そのみなさまが一体「なに」に反応しているのか?まずはそれを解き明かしていく必要があります。

ここで登場するのが『FLUFFY SOUFFLE PANCAKE ふるぷるパンケーキ』です。同店のアイコン的存在であり、初来店の方にはぜひとも味わっていただきたい逸品。「このメニューがどうやって作られているのか?」からひも解く『512CAFE&SWEETS』の神髄をまずはご覧あれ。

卵ひとつに、同店ならではの「選び方」

注文が入ってから立てる卵白。卵は兵庫県産で、味の濃い卵が支持されがちな昨今の流れに逆らうかのごとく、淡白でありながら旨みの輪郭がクリアな味の卵を厳選。生地やクリームやソースと構成したときに、全素材の“持ち味”が調和することに重きを置く、同店ならではの「選び方」。

生地の状態を射るように注視していく高橋さん。粉類は自家製ブレンドで配合も素材ももちろん社外秘。こちらの鉄板にも秘密があり、東京の本店からわざわざ運んできた1機なのです。なぜなら、この鉄板の熱伝導のクセを知り尽くした高橋さんにとって、決して替わりのきかない相棒だから。そのくらい、このパンケーキが繊細で、高度な加熱技術を要する、とんでもないメニューだということの証左なのです。

生地はスチーム加熱に移行。水蒸気のジュワーっという音を聴きながら、ワタクシもカメラマンも、息をするのもためらわれるほどの緊張感。高橋さんは、両の腕以外に微動だにすることもなく、蒸し焼かれる生地と対峙。目も耳も鼻も皮膚で感じ取る熱も、すべての知覚をフルで注ぎ込む工程。「焼く」という工程に全身を注ぎ込むこの時間。

その日の温度や湿度はもちろんのこと、さらには卵の状態なども考慮しながら、…無数の取捨選択から「いま、最もベストな、加熱温度と焼き時間」を逆算していく妙技。機械やAIでは再現できない、まさに「人の手の仕事」がここにあるのです。

たっぷりと乗せられる自家製カスタードクリーム。さらには「きび糖」も添えられて、パンケーキは着実に完成へと進められていきます。現在の調理法を確立するまでに重ねた無数の試作。さらには、提供を始めてから約8年間。「常にブラッシュアップの連続であった」と話す高橋さん。言語化も数値化もできない「感覚」の世界で、日々の発見をブラッシュアップにつなげ、「これで完成」を設定しないところに『512CAFE&SWEETS』(心斎橋)と『512 CAFE&GRILL』(赤坂)の凄みが秘められます。常に進化させてきた軌跡は同店の財産そのものなのでしょう。

バーナーで「きび糖」が炙られた瞬間、あたりにフワッと広がる「物が焼ける香り」。この後は試食→リポートになりますが、この<香り>の件、かなりのキーワードです!

それでは、いただきます。

では『FLUFFY SOUFFLE PANCAKE ふるぷるパンケーキ』をいただいていきます。3段に重なったパンケーキ。糖の添加を一切しないベリーソースは自家製。バニラアイスはクリームを土台にして「溶けにくく」といった配慮も。

そっとナイフを入れてみる。シブースト状態の表面はかなり硬い!決壊からとろけだすカスタードクリームに繊細極まる生地。キレイなものが崩れる瞬間の美しくも儚ないこの感覚。なにか取り返しがつかないことをしているような背徳感に、決壊から沸き立つ甘い香りとほんわかとした「熱」が満ちていくのです。

食した瞬間、脳天を直撃するのは「焦げ味」。きび糖が焼かれ、焦げた味。そう、モノ(素材)が焼ければどう変容するのか?それをまっすぐに突き付けてくるような香りや強い香ばしさ。これが味わいの“スタート”で、その後は無我夢中の味わい進みなんです。

卵白の味、粉の味、きび糖の味やベリーの味。それひとつとっても、単味では決してない。そんな素材が演算し、調和したかと思えば対峙もして。このメニューが魅せてくるのはまさに“素材感”。人の手の内に収まるもんかと主張するくらいの素材感、でありながら、ひとつのプレートに集約される妙味。舌や口内が熱や粘度を感じ取って、味覚が煽られて、嗅覚が刺激される。 「パンケーキを食べている」ではなく、なんといいましょうか…「自分の知覚が目覚めていく」という体験そのもの。外からの刺激で、内から沸き起こる感覚が止まらない、そんな体験なんですね。

「大学芋パンケーキ」は郷愁の味わい…

ここまで同店の代表作でありアイコンメニュー『FLUFFY SOUFFLE PANCAKE ふるぷるパンケーキ』をご覧いただきました。そんなベースを押さえまして、期間限定の『CANDIED SWEET POTATO 大学芋パンケーキ』へ話題を移しましょう。

はじまりは昨年2022年の秋のこと。季節限定メニューが支持される同店において、髙橋さんの考案の中に〈芋〉、それも〈大学芋〉というアイデアが降りてきたのだとか。そこから全体構成や試作を重ねて誕生した大学芋パンケーキ。昨年の評判に後押しされ、2023年の秋にも同店に君臨しています!

生地に練り込むのは「安納芋」。さらには「紫芋」カスタードと「さつまいも」カスタードも挟んで。仕上げにかけるソースは「自家製大学芋ソース」。このソースが一面の窓からの陽光を映え返す様は…ウットリのワンシーン。さっぱり塩ミルクアイスが箸休めとなります。

3段に折り重なるパンケーキを割ってみる。トロリと溢れ出す「紫芋」と「さつまいも」カスタード。同時に立ち昇る〈芋〉の牧歌的な薫香、そして焼き芋に手を近づけた時のような温かさ。ひと口ほうばると、それは形も食感も変えた、まさに〈大学芋〉。生地に、カスタードに、ソースに…と、あらゆる〈芋〉の持ち味が集約され、記憶の中の〈大学芋の味〉をしっかりと想起させるのです。

「表面カリカリ&中はホクホク」のテクスチャーを「しっとり生地&トローリカスタード」に変換した、まさに〈大学芋〉。『大学芋』という料理を1度解体して、あらゆるエレメントを変換して、もういちどパンケーキに再構築したかのような逸品。添えてあるホンモノの大学芋との対比も面白い。

これも、先ほどの『FLUFFY SOUFFLE PANCAKE ふるぷるパンケーキ』と同じく「パンケーキを食べている」だけではなくて…「自分の知覚が目覚めていく」という体験かもしれません。構成も組み立てもテクスチャーも異なるのに、かつて大学芋を食べた懐かしい思い出が刺激されてしょうがない。素朴で懐かしくて、そこへ帰りたくなるような記憶がフラッシュバックするのです(涙)。

「512で提供するすべてのメニューは“五感で楽しむ”」という高橋さんの言葉は、まさにそのとおりでした。どちらのパンケーキも、知覚の目覚めや記憶の想起など、味わうことで自分の内から生まれる新しい感覚が〈待ち構えて〉いるのです。
さて、そんな『512CAFE&SWEETS』が心斎橋に開業したのが2020年の7月。いまでは、行列に次ぐ行列で、休日ともなると席の確保にも困難なこのお店。

そこで『512CAFE&SWEETS』はお店を引っ越しすることになりました。赤坂の『512 CAFE&GRILL』を訪れた方はご存じかもしれませんが、「512」の本来の姿は周遊も店内も緑に囲まれた格別な空間。その空間フィロソフィーをここ大阪でも体現し、今よりも多くの方々が心地よく過ごせる新店へ。さらには、同店が大切にする「人の手の仕事」がさらに伝わるような造りへ。現在の位置からさほど遠くなく、心斎橋筋商店街にお買い物に来られた方々が〈変わらずに〉立ち寄りやすい場所(アメ村方面)へと11月末(予定)に移転します。

ここ心斎橋から始まった『512CAFE&SWEETS』の軌跡。関西のみならず西日本…いやいや、世界中からの吸引力を可能とする「人の手の仕事」が紡ぐパンケーキをこれからもご期待ください。メニューや新店の情報は公式サイト及び公式SNSに随時アップされますので、要チェックですよ!

◆FLUFFY SOUFFLE PANCAKE ふるぷるパンケーキ/1,650円
◆CANDIED SWEET POTATO 大学芋パンケーキ/1,870円

※価格はすべて税込みです。
※2023年内に移転予定です。最新情報は公式サイト及び公式SNSをご覧ください。

店名:512CAFE&SWEETS
住所:大阪府大阪市中央区心斎橋筋2-1-24 2階
TEL:06-6211-1512
URL:https://512.osaka/

CATEGORYFOOD TAG

Loading..