心斎橋フレンチの実力
Store Info
- 店名ビストロ ヴェール
- 住所大阪市中央区心斎橋筋1-4-20宇治園ビル3F
- 電話番号06-6252-7808
- AREA
- 3
- EAST
食べるの「オシャレ」ってなんだ?
「○○で紹介されてた○○レストランに彼女連れてって、○○産の○○食べて、○○のワインも空けて、そこは○○ってデザイナーが設計した内装でオシャレで、△△△△△円も奢ったのにフラレタ」という男性の愚痴を、とりあえず聞いてあげました…ワタクシことワタクシです。話してる内容の半分は「記号」と「価格」で、こんな男性に食べられた「○○産の○○」も、その「彼女」も気の毒に…と思わずにいられません。きちんと自分の舌で感じ取る喜びを、どこで学び損ねてきたんでしょうか。心斎橋に長く続く店は、そんなコテ先では誤魔化さない実力派ばかりですよ!
その代表格がこちら「ビストロ ヴェール」。「しんぶら街」で誕生し、ここ宇治園ビル3階に移転して7年。「ビストロ ヴェール」の小野シェフはかれこれ18年も心斎橋の普段着フレンチとして腕を揮っています。ランチタイムともなると怒涛のオーダーラッシュ。カウンターもテーブルも満席。来店されるお客様はほぼリピーターで、人気の高さが窺えるこの店。初めて来店される方は「こんな所にビストロがあるなんて!」と驚きます。
つまんない男性の愚痴を聞いた厄払いとばかりに「小野シェフ、美味しいもの食べたいです!」とお願いすると「出前一丁(袋ラーメン)でええか?」と、なんとも肩の力が抜けるご返答!こちらも負けじと「お肉、ガッツリ食べたいです!」とお願いしたら…小野シェフの手が動き出しました★
まずは、あらかじめ火入れをしておいたジャガイモとミルクで即興マッシュポテトの完成。器に盛り付けます。
次に、本日仕込んだばかりの「牛バラの赤ワイン煮」。これは15時間かけて完成する「手間の逸品」。ピックで穴をあけたバラの塊に塩コショウ。そこから2時間置いて水洗いし、フライパンで表面に火を入れてから10時間(!?)炊き上げる。その後はフォンと赤ワインで煮詰めること・・・・・・長時間!
指で触っただけでもホロリと崩れそうな牛バラ肉をマッシュポテトの上へ。
実は、お肉よりも「断然!野菜好き」な小野シェフ。この日も最適な加熱で下ごしらえしたお野菜がズラリ!!!ここからピックアップするのは、シメジ、白いんげん、青インゲン、人参などなどなど・・・。
鍋ではフォン・ド・ボーを贅沢に使った赤ワインソースが温められ、液体バターをチラッとだけ、ほんとうにチラッとだけ注いで仕上げ。
と、同時にさきほどの野菜に最後の火入れ!
赤ワインソースをそそいで・・・・
「牛バラの赤ワイン煮」ができあがり!試食はこのあと★
次は鶏!包丁で丁寧に開いた表面には、まんべんなくハーブソルトを。
オリーブオイルで皮から火入れ。このとき火力はマックスに!表面にだけしっかりと焼き目を入れます。そしてココから350℃のオーブンへ。
ここで登場するのが自家製ラタトゥイユ。たまねぎ、パプリカ、なす、ズッキーニ…彩り鮮やかです。小野シェフいわく「野菜のジャム」。冷たいまま、器に盛り付けて・・・
先ほどの鶏を取り出し、表面にた~っぷりのマスタード!
この後は、神がかりな即興技の連続!パン粉にジェノバペースト、そして・・・
またも、たっぷりのお野菜や刻んだパセリを同じフライパンに投入!
最後の火入れは200℃のオーブンで。
自家製ラタトゥイユの上に盛り付けていき・・・完成かと思いきや、実はまだ隠し味があったのです★
取り出したのは「ガーリックオイル」、これを料理にかけるのではなく・・・
周囲に散らしてバーナーで加熱!すると、インパクトの強い香りが立ち昇ってきます♪それでは「鶏もも肉の香草パン粉焼き」完成です。
一般的に、フレンチはお皿の中の味の層を重ねて、密度の高い構成にしていくもの。でも、みなさんお気づきでしょうか?小野シェフの手法は、とことん引き算!調味料やソースは極力控え目。そのかわり・・・
これ、ですよ。牛や鶏といった主役を食う勢いの名脇役たち。塩によって引き出される野菜の旨味や、最適に加熱されることで高まる旨味。それらが、どう主役と相乗するかといいますと・・・
それでは 「牛バラの赤ワイン煮」からいただきます♪ナイフを差し込むとホロホロホロと溶けていくバラ。これが15時間かけて仕上げる実力★
トロリとした牛バラと、キュッキュッとしたテクスチャーのしめじ、そして、ふっくら白インゲンに、青インゲンの対比。それぞれの食材の味覚と食感が明瞭に対峙され、全体を包囲するフォンの風合い。確かに!小野シェフのフレンチは密度の高い層が折り重なって、それでいてそれぞれの持ち味がしっかりと活きています。
「あ、しめじ!」「あ、インゲン」「あ、牛バラ」と感じるたびに、その食材がその食材以上の魅力を魅せてくれる。余分な調味料を加えず、素材の持ち味を活かせる秘密は…「赤ワインソース」。フォン・ド・ボーや赤ワインをギリギリまで煮詰めることで、輪郭のしっかりした味わいに。だから、バターや生クリームたっぷりのソースは「いらない」。素材の対峙だけで妙味を作る円熟技!
そんな「牛バラの赤ワイン煮」とは趣きを変える味わいが、こちらの「鶏もも肉の香草パン粉焼き」。ガーリックオイルの香りとマスタードの香りが相乗して、食欲掻き立てる一品なのです。ここで対峙されるのは、マスタードやジェノバペーストの強味と、全体を覆う鶏の旨味。
あるいみ先ほどの「牛バラ~」よりも複雑さをもつ一皿。350℃と200℃の2段階で火入れした鶏は、繊細な身の質をプリッと張り上げて。フライパンに残した肉汁で絡め焼いた野菜類が、鶏の旨味をまとい、マスタードやジェノバペーストと相乗。自家製ラタトゥイユの酸味が箸休めに最適★
多種多彩な素材を使い、香りの層も深い・・・いわば「情報量」の多い一皿なのに、右脳に伝わる「旨い!!!!」はまっすぐすぎるくらい直線的。上顎の奥にフワッと届く「旨味」って解りますでしょうか??あれがドンドンと深みを増していくんです。
これが! 「ビストロ ヴェール」小野シェフのセンス&テクニック。 「○○産の○○」なんてコテ先の記号では納得しない、口の肥えた心斎橋人たちが足しげく通って18年の腕前とはこのこと♪
スマホや雑誌やTVで入手する「記号情報」よりも大切なのは、アナタの感想★「うまく説明できないんだけれど、僕が好きなフレンチだから」そう誘ってもらえれば、感度のいい心斎橋女子ならば喜んでいっしょに行きます。まずは、ランチからでも「ビストロ ヴェール」に足を運んでみて!
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ランチセット 1260円
・スープ
・パンorごはん
・メインのお料理
・コーヒーor紅茶
・デザート - ※価格は税込