宇治園~お茶は飲むマスク~
宇治園と言えば…
心斎橋筋商店街のお茶専門店と言えば「宇治園」。その歴史を1869年(明治2年)に遡り、京都山城町の茶商がルーツ。昭和19年にここ心斎橋にお店を構えられました。歴史あるお茶専門店でありながら、時流の先を行く「お茶シーン」の創造にはイノベーティブな清悦さも秘めて。まさに、心斎橋を代表する名店ですね。
新型コロナウィルスの緊急事態宣言が解除され、2ケ月以上が経ちます。「もし、この時期に親しい方に贈り物をするなら…」とリサーチしていました所、同店の「お茶は飲むマスク」というPOPを発見。確かに調べてみると「お茶が含むカテキンは感染型細胞の細胞膜を破壊する作用がある」という記事も見つかりました。(筆者によるネット調べ)
そこで今回、同社 重村代表にお話を伺える貴重なチャンスを得まして、宇治園のこともいろいろ伺います!重村代表は…「お茶が含むカテキンの殺菌作用は様々な研究からデータが出ています」と話してくださいます。ただ、もちろんすべての細菌防止に有用だとは言えない…とも。とはいえ「この時期に“貴方のお身体を案じています”といった気持ちを込めて、お茶を贈るって素敵ですよね」との私の感想に、「いま、そういった贈答需要は確かにあります」とニッコリ。
先祖代々に渡って信頼を構築した全国の茶産地から、安心・安全で高品質・高付加価値な茶葉を厳選収集する宇治園。玉露、かぶせ茶、抹茶に、煎茶、ほうじ茶、玄米茶などなど。日本の茶文化の叡智を集約するかのような店内は、約150年の歴史を感じさせます。このように茶葉だけでなく…
急須などの物販もあり、深いお茶文化を楽しませてくれるのも同店ならでは。そうでありながら、伝統を守るだけでなく、革新的な試みにも意欲的なのが宇治園らしさ…でもあります。例えば…
写真:フィルターインボトル・150周年記念カークボトル
急須でしっかりと淹れるお茶…といった伝統の継承と、このような「水出し(!?)」日本茶の新しい提案が店内に凝縮されているのも驚かされるところ。水出しは、苦味が少なめで旨味が強く感じられる味わいが特徴とのこと。
水出しお茶といった新しい提案を老舗がする、これ、かなりびっくりなんですが…。そんな私の感想に「日本のお茶文化は、今も昔も進化と発展の途中。時代に合わせて新しい味わい方が生まれる。それがお茶文化の本質的な面白さなんです」と話してくださる重村代表。
さらに…「お茶の味わいを科学的に整理すると、文化とはまた違った側面が見えてくる」とも。茶葉と焙じ方や蒸し方…そして淹れ方などなど、そんな無限の取捨選択から生まれる豊かな旨味・渋味・酸味・甘味…味覚など、科学的追及も面白いと話してくれます。
時に文化と歴史、時に科学的アプローチ。まるでエル・ブジのようなお茶界の先駆者、それが、創業150年 宇治園の「今」なのです。さらに、「お茶と健康、つまりは、お茶の医療的効果もこれからの時代に求められるテーマ…」だと重村代表は話してくれます。
そんな「お茶と健康」をテーマとした、まさに“体験できる”イートインコーナーがこちら。「茶は薬として始まった」をコンセプトに、60種類の薬膳茶をオリジナルブレンドで体験できる「古傳薬膳」。
薬膳茶と聞くと「苦そう」「飲みにくそう」といったイメージがありますが、ここは宇治園!そう、日本茶をベースにしているのでとっても飲みやすい…というより味わい深くて美味しい♪こんな日本茶の活かし方を発案されるとは…!!!!!
約60種の薬膳は、「仕事やプレッシャーに負けないために」や「溜めないカラダを目指して」など、実生活に寄り添った期待効能の紹介文も嬉しいポイント。重ねて書きますが、ベースは日本茶。つまりは、日常にも取り入れやすい宇治園様からの新生活提案なのですね。
もちろん、通常の喫茶コーナー「喫茶去」も2階にあります。生茶麺や湯葉丼といったフードメニューに、各種お茶メニュー、抹茶ティラミスなどの趣向を凝らしたメニューが楽しめます。
まだ外出に不安な方は、宇治園オンラインサイトでお買い物もできます。これが、「うちの母親(推定67歳)」でも使いやすいと常々言っているほど、見やすくて利用しやすいのです! ぜひお茶の贈答などにもご利用ください★
「日本のお茶文化は、今も昔も進化と発展の途中。時代に合わせて新しい味わい方が生まれる。それがお茶文化の本質的な面白さなんです」この言葉の通り、これからの時代に求められ、また、求められる先を行く宇治園。創業約150年の老舗が、新しいお茶生活を切り拓いています。