ユニクロ心斎橋店
「世界的に感染拡大が深刻化する新型コロナウイルス感染症対策支援として(中略)各国で緊急ニーズが高まっている医療用マスクを中心にマスクを1000万枚規模で調達し、日本をはじめとする各国で優先度の高い医療機関等向けに寄贈します」とユニクロの親会社である株式会社ファーストリテイリングが発表したのが2020年の3月26日。まだ、国内は緊急事態宣言前で、世界のニュースに困惑をしていた頃。そして、2020年4月7日には全国に緊急事態宣言。その後の2020年5月25日には「全国で医療資材の不足に直面する医療機関や介護施設等を対象に、アイソレーションガウン100万点、マスク400万点、ならびにユニクロの機能性肌着「エアリズム」を無償提供」と発表されました。同社は、その後も継続的に支援を行っています。
2020年5月21日、大阪府下で緊急事態宣言が解除された後。私たちはここ、ユニクロ心斎橋店へ取材に伺いました。まず、目にしたのがキッズウェアのフロアで買い物をするママと子どもの2組。互いに選んだアイテムを見せ合いながら、満面の笑顔だったのです。(画像は地下1階ウィメンズインナー/キッズ&ベビー)
店長の尾﨑さんは話します。「お客様が戻ってこられたこと、スタッフが元気に働けていること、それが何よりも嬉しい・有難い」と。そんなユニクロ心斎橋が一時クローズしたのが4月9日。スタッフの健康とお客様の安全、どちらも同店にとって大切なもの。苦渋の決断と共に、尾﨑さんの不安と焦燥の日々が始まったそうです。
人事管理を担当する尾﨑さん。この休業中にスタッフが罹患していないか、また、そのスタッフのご家族も無事でいて欲しい、祈るような気持ちで1日1日を過ごし、いつ終息するかも先が見えない苦悩の中…「2020年5月7日にユニクロ心斎橋店を再開する」との一報を受け取りました。
迎える2020年5月7日までに、やらなければいけないことは山のようにありました。皆様、ご存じのように、西日本最大級を誇る同店。広さはもちろん、導線も複雑なこの店で「お客様とスタッフの安全を守る」。そのための仕組みづくりとマニュアル&ルールの整備に使用アイテムの洗い出し。そびえ立つ山のようなタスクに、尾﨑さんやスタッフは一丸で挑んだそうです。(画像は3階 メンズ)
すでに再開していた同社他店の対策を、自店にどう落とし込めるのかを精査&検証の繰り返し。消毒アルコールの設置位置や設置方法に、
レジでの飛沫防止シート、そして、
ソーシャルディスタンスの啓発や、
ボトムの裾直しの際も、お客様とスタッフが密にならないように。
もちろん、これだけではなく、スタッフの出勤前~業務中のマスク着用やレジ周りやフィッティング使用後の消毒清掃、さらには店内滞在人数の瞬時把握~入店制限も。
そして、構築されたルールとシステムに人(全スタッフ)を乗せていく作業も。「お客様に自信を持って私たちの取り組みが説明できることを目指し、全力でした」と話す尾﨑さん。そうして迎えた2020年5月7日。店内に訪れるお客様たちと自信に満ちて出迎えるスタッフの様子が同店にあったそうです。(画像は店頭での検温チェックの様子)
「新型コロナ以前と同じ日常には戻ることは難しいかもしれません。でも、ユニクロだからこそ変わらずにお客様に提供できるものがあると思っています」と話す尾﨑さん。実は大阪府下の緊急事態宣言中、「いつユニクロ心斎橋店は再開するのか?」「気候が暖かくなってきたから機能性肌着がどうしても必要!」といった声が予想を上回る数で同店に届きました。その時、尾﨑さんは“ライフウエア”としての同社の使命を深く実感したそうです。
「ユニクロの服は、お客様の日常に寄り添うものでありたい、と改めて実感しました」尾﨑さんはそう振り返ります。着心地や快適さ、生活ニーズから考え抜かれたシンプルで上質な一着。このような未曽有の事態にも人は生活を営み、その営みを支え、人々から支持される「ユニクロ」。(画像は2階 ウィメンズ)
その理念を支える同社の「自然との共生・革新的な技術・人権の守られる労働環境」は、ユニクロの強固なサスナビリティ信念。「服の生産、販売、雇用。サステナビリティ=持続性は保つためには、どれも疎かにできない。そう再認識したんです」と話す尾﨑さん。未曽有の事態だからこそ、再認識した“使命感”で、尾﨑さんは今日も店頭に立っています。(画像は4階 メンズ&ウィメンズUT/メンズインナー)
自身がここで働く意義を再認識したと話す尾﨑さん。「このような時代だからこそ、新たな価値を創造していく、そんな“一員”でありたい」と話す姿は、焦燥感も不安もなく、前一点を見つめています。
さて。気温が上がるこれからの季節に欠かせないTシャツ。同店では4階にあの「UT」専門のコーナーができています。世界のアート、キャラクター、企業やブランド等とのコラボレーションを展開し、毎年圧倒的なバリエーションのグラフィックTシャツがズラリ。
フロントデザインに、ストーリーを宿した1枚は、これからの季節にエンパワメントな“着心地”を約束してくれること間違いありません。
「新型コロナ以前と同じ日常には戻ることは難しいかもしれません。でも、ユニクロだからこそ変わらずにお客様に提供できるものがあると思っています」尾﨑さんのこの言葉、感慨深いです。「〇〇〇だからこそ変わらないものがある」皆様にとっての○○○は何ですか?