フードコーディネーターの美レシピ
心斎橋の「釜出しカステラ」
本当にスィーツが好きな方にだけにお土産で持っていくこの「窯出しカステラ」。購入できるのはここ銀装の心斎橋直営店とほかは工場直営店、阪急うめだ本店の3ヶ所のみ。保存料は含まず、日持ちも短いので、通販も一切なし。ほんとうにいいものって、カンタンには手に入らないんですね。
小麦の中心部のみを使用した無漂白小麦粉、新鮮な鶏卵、水飴、蜂蜜など選り抜きの素材をふんだんに。心斎橋本店では3名の「焙成士」さんが焼き上げます。
この日の朝は焙成歴35年の西田さんが腕を揮っていました。西田さんは言います。「100%完璧な焼き上がりは難しい。35年やっていても、そう思う」
年季の入った「窯」は特注機。今でもメンテナンスを繰り返し、最高のパフォーマンスを発揮してくれるのだとか。窯が開くたびに薫香が店内に広がります。
選り抜きの素材をごまかすことなくまっすぐに伝える。そのために磨かれるのは「技」。生地が含む気泡の大小を均一に、生地全体の温度を一定にするこの作業は、窯出しカステラの要。
微妙な加減、針の穴のような一点、五感で察知する按配。生地と手をつなぐ「お道具」は、焙成士さん各自の相棒があります。そのくらい、デリケートな技術なのですね。
気温・湿度で焼き加減も大きく左右される窯出しカステラ。焙成士さんの射る様な目が何度も何度も窯を覗きます。「250度で45分」とはあくまで目安で、鶏の飼料が変わり卵の質が僅かに変化するだけでも、慎重に焼き上げなければいけないほど、繊細な繊細な逸品なのです。
そうして今日も無事に焼きあがれば、カステラたちは切り分けられて梱包へ。このときも慎重に慎重に。極力、生地に負担がかからないよう、手や包丁の接触を最小限に。
奥では明日の仕込が始まります。約600mm角の特注鉄板に、紙をきっちりはめ込む。生地に直接熱が伝わらないよう隅々を注視。
特別にザラメを振るところまで見せていただきました。糖度99.9%以上の最高級結晶糖は透明度の高い白濁で底にちりばめられます。
これ以上ないほどキメの細やかな生地。高い密度ながらしっとりと柔らかな食感。卵や小麦の旨味と甘味が十分に打ち出され、贅を尽くした逸品が仕上がります。
素材と技の結晶「窯出しカステラ」。まだ未体験の方は是非いちど味わってみてください。カステラの概念がひっくり返りますよ。
さらにおいしく召し上がっていただくために 〜食べ方のご提案〜
そんな「窯出しカステラ」に添えるのは、極力存在を主張しないアングレーズソースです。
卵黄とヨーグルトと少々の砂糖。カステラの香りを邪魔しないよう、バニラビーンズも入れません。ヨーグルトの酸味がカステラの甘味を少し強調するほどの存在感。
味に主張を持たせない分、温度で強弱をつけます。キンキンに冷やしこんだアングレーズソースと、焼きたてでまだ温かさを保つ窯出しカステラを合わせて、「焼きたて」感を強調します。
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窯出しカステラ(S) 378円
※2枚スライス
窯出しカステラ(M) 756円
※4枚スライス
窯出しカステラ(M×2) 1512円
※窯出しカステラ(M)×2本 - ※全て税込価格