かき氷、なめてました。

ワタクシ、かき氷をなめていました。かき氷はスイーツの一種で、和スイーツに分類され、夏に風物詩となるもん…、そんなボンヤリとしたイメージしかありませんでした。とんでもなかった！それをまざまざと思い知らされたのが、京都山城創業明治２年、宇治園のかき氷。いま、天地がひっくりかえるような思いをしています。

「喉カワケバ 水ヲノミ 心渇スレバ 茶ヲ喫ス」店内に掲げられるこの言葉。これは宇治園の社訓だそう。そう教えてくれたのは、2階・喫茶スペースで店長を務める伊藤さん。毎年夏には、この喫茶スペースに「かき氷」を求めてたくさんのお客さんが足を運びます。お目当ては…

この「宇治ミルク金時」（手前）と「ほうじ茶ミルク金時」（奥）。ほかにもパフェなどのスイーツもありますが、ダントツで人気はこの2種！宇治（抹茶）はなんとなーく、想像できるのですが、ほうじ茶をかき氷に…という発想がなんとも驚き。実はこれらのかき氷は当喫茶で20年以上（抹茶）、3年（ほうじ茶）の看板を背負うエースメニュー。「ほうじ茶スイーツが一般的となる前から、ほうじ茶のかき氷もメニュー化されていました。その頃は泣かず飛ばずで…」と話す伊藤店長。

伊藤店長は続けて「実はこのコ、すごく手間ひまがかかっているんです」と話します。アイススライサーにかけたフワフワな純氷（じゅんぴょう）に蜜をかけます。そのあとトントンと器を叩いて氷を下げて、ほうじ茶の粉をフサフサと。その後、再度フワフワ氷を乗せて、ほうじ茶粉と小豆と練乳と自家製白玉で仕上げる。2層スタイルのかき氷は、食べ終わる最後のひとくちまで味が浸透しているのです。が、伊藤さんが話す手間ひまとはその事ではなく…

ほうじ茶粉のことなのです。一般的なほうじ茶スイーツは、ほうじ茶と蜜が初めから混ざっていたり、
粗めに粉砕したほうじ茶で香りを保っていたりが定石。そこはさすがに宇治園、「そんな手法は一切御免」と、この商品のためだけにあらゆる手を尽くしています。例えばほうじ茶の粉砕、ふわふわの氷と一緒になって口中で溶けるように…と、粉末どころか“微”粉末になるよう、外部の特別な機関に粉砕を依頼。サラサラのほうじ茶は宙にフワリと舞うほどの繊細さ。さらには、素材にも目利きを効かせ…

用いるほうじ茶は当店の看板商品「火男（ひょっとこ）」に厳選。この「火男（ひょっとこ）」、立春からかぞえて八十八夜前後に摘み取られる新茶（かりがね）が原料。茎も使用するため、甘みが非常に強い。下世話な話ですみませんが、通常の茶葉で購入すると80g／1000円の…おおーっと、高級品なのですね。それを惜しげもなく、そして微粉末にして…かき氷に用いているのです。

そこまで手をかけるのは、かき氷というシンプル且つ、素材感がひと口で“伝わってしまう“メニュー
だから。氷とお茶、それは、水と茶葉という一杯のお茶にも匹敵する、シンプル＆ほんまもんのかき氷。茶の魅力を伝えるために「素材の選りぬき・加工の精度」には並々ならない手が施されていたのでした。そんな「ほうじ茶ミルク金時」の注文が増えてきたのが3年前から。伊藤店長、やっと日の目を見たこのコに、「よかったね」と言わずにいられなかったのだとか、そうでもなかったのだとか。（創作）

もちろん！！！ 「宇治ミルク金時」は不動なる人気NO1。スタッフの芝さんもコレが一番のオススメ
で、「宇治産100％の上品な香りと美しい緑を楽しんで」と太鼓判。こちらも2層となっており、最後のひと口まで、清澄な風合いが楽しめます。当然、抹茶本来の苦味を抑えこむようなマネはしていません、だって宇治園ですから。宇治園ですからね。きちんと、香りと苦味と端正な風情を大切にしているわけです。

かき氷のブームで、巷にはあらゆる種類のかき氷が伝播。枝葉を伸ばして進化の渦中です。アイディーア！なメニューにも驚かされますが、こういったスタンダードな逸品には底力を感じずにはいられません。「シンプルな素材、シンプルな調理だからこそ、万人に受け入れられ、万人のジャッジが下されます。生き残るのは本物だけです」と話す伊藤店長。むむむむ、心斎橋筋商店街・かき氷戦線の最右翼、「宇治園」は今年もほんまもんで勝負です。

そんな、心斎橋筋商店街ですが、今年も“かき氷はじまります”が始まっています。「おいしい心斎橋を楽しもう!!」をテーマに、川べりの夕涼みや、浴衣（♡♡）や、かき氷（♡♡♡）で盛り上がります。

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