2019.09.01

#18世紀の旅スタグラム

Store Info

  • 店舗大阪浮世絵美術館
  • 住所大阪市中央区心斎橋筋2-2-23 不二家心斎橋ビル3F
  • 電話番号06-4256-1311
  • URL
    https://osaka-ukiyoe-museum.com
  • AREA
  • 6
  • EAST

まずは、ご覧ください。

これは浮世絵(うきよえ)です。浮世絵とは・・・18世紀になってからは江戸を中心に多くの人々に大衆文化として広まり、浮世絵師たちは、時代の最先端をいく風俗や話題を追い求め、常に趣向を凝らした描写で「今」を表現しました。と、大阪浮世絵美術館の公式サイトに解説がありました。

そうなんです。2019年の7月にオープンした「大阪浮世絵美術館」。これがなかなかに面白い!まるでコミックを眺めているような軽快さや味わい深さ、絵の中の物語にドップリとはまったひと時に!

今年の11月までは開館記念展として「東海道五拾三次」56作品が一挙公開されています。これはかなり珍しいこと。「東海道五拾三次」の全作品をじっくりと眺められる機会です。作者は歌川広重(うたがわひろしげ)。公式サイトによりますと・・・江戸時代 政情が安定し、享保年間(1716-36)頃から民衆の旅が盛んとなり、

文化・文政期(1804-30)には旅ブームが起こり便乗して発表した風景画「東海道五拾三次」で人気絵師になりました。「東海道五拾三次」シリーズはその土地の名所、名物などが描かれ当時のガイドブックとしての役割も果たしたと云われています。とのこと。つまりは18世紀の旅スタグラムを、こんな風に目前にじっくりと眺められる。それが「大阪浮世絵美術館」。

たとえばこちら。(右)日本橋 朝之景(にほんばしあさのけい)と(左)日本橋 行列振出(にほんばしぎょうれつふりだし)。どちらも東海道の起点「日本橋」が描かれています。この2点には面白い対比がありまして・・・

【日本橋 朝之景】/ 東京
参勤交代の大名行列が朝早くに出発する傍らに、魚を天秤棒で抱えたグループが行商に出かける…混沌とにぎわう早朝の日本橋。

【日本橋 行列振出】 / 東京
一方、同じ構図でお昼間の日本橋。集まる町民や商民などの種類や人数が増えて、朝とは違う活気が味わえるのです。さらには・・・空のぼかし色が・・・気づきましたか??

起点となる日本橋からズンズンズンと西へと延びる東海道。その順番通りに展示され、さながら旅の疑似体験のよう。土地はもちろん季節にも味わいがありまして・・・こちらは蒲原 夜之雪(かんばらよるのゆき)。

【蒲原 夜之雪】 / 静岡
これ超寂しいの!!いまでいう静岡の宿場町・蒲原に、どっさりと雪が積もって。皆さん、合羽や傘をしっかり身に着けて、ふっくらとした新雪に足跡がトボトボと。真ん中の人は足元に明かりを灯して。「はやく帰って暖まって~」って思わず口から出てしまう!

かと思えば雨ね。庄野 白雨(しょうのはくう)は、昨今のゲリラ豪雨を思わせるほどのパニック感が凝縮。

【庄野 白雨】 / 三重
雨を描く直線が角度を変えて轟(とどろき)満載。しかも風がかなり強いらしく、竹藪がグラグラ揺れているのが分かります。そこを行く方々、なんと坂道を上がっています。なんてツイテない!!このタイミングで夕立だなんて!

なんて、すっごく感情移入して眺めてしまうのですね。そんな浮世絵版画は当時の人たちにとって大衆文化。初めて浮世絵版画に芸術的な着眼をもたらしたのは海外の人たちだったそう。19世紀後半に「ジャポニズム」としてその価値を高めたのだそう。ですが、眺めれば眺めるほど、クスリとしたりハラハラしたりと、面白みを感じてしまうのは日本人ならではなのでしょうか。

そんな視点から、スタッフ様のお気に入りの1点を教えていただきました。藤川 棒鼻ノ図(ふじかわぼうはなのず)です。

【藤川 棒鼻ノ図】 / 愛知
これはかなり緊張を迫られるシーンです。宿場の境界まで幕府のお偉いさんを迎えに来た、紋付袴姿の役人たち。こんなに小さく身を下げて、粛々と粛々と。まるで大事なクライアントを迎える時の自分のようです。そんな人間界とは無関係にコロコロと遊ぶ犬たちがなんとも面白い!

そして、皆様。必ずや見てきていただきたいのが、常設展示の葛飾北斎・富嶽三十六景(凱風快晴)(ふがくさんじゅうろっけい/がいふうかいせい)。通称「赤富士」と呼ばれる名作。浮世絵の富士の代表的なアイコン。真っ赤な富士、そして、細やかな点で描かれる樹海。

そう、浮世絵といえば、版画なんです。彫り込んだ板で、このように色を重ねていく技術。これがさきほどまでご紹介した作品全てに使われている技術と考えますと…途方もない労と技!

そんな浮世絵ですが、なんと、買うこともできちゃいます!ショップコーナーに並ぶのは当時の版画がズラリ。

背景が赤い作品は、役者さんの広告。つまりはブロマイド!と言っても今の人たちには分からないかな?アイドルのポスターやスマホの待ち受け画面のようなものです。

現代の版画職人が手掛けた復刻版もあります。さらには・・・

メイドインジャパンで肌触り抜群な北斎Tシャツや・・

東海道五拾三次をモチーフにしたネコのチーフ・・

さらには、北斎の大判風呂敷は、

バッグにアレンジも粋!

こちら物販のコーナーは入場無料で利用できます!

18世紀の旅スタグラム、いかがでしたでしょうか?皆様も東海道五拾三次からお気に入りのエピソードを見つけてみてください!

  • 北斎Tシャツ 4104円
  • 北斎風呂敷 2750円
  • ネコチーフ 648円
  • ※ショップのみのご利用は、入館料不要です。お気軽にご来館ください。

◇入館料

  • 大人 1000円
  • 学生 600円 ※学生証提示
  • 小学生 300円 ※7~12歳
    • 入場券1枚にて1名様に限り有効です。再入場はできません。
    • 入場券は切り離し無効です。
    • 入場券の払戻、交換、再発行はできません。
    • 館内の混雑の際には、入場をお待ちいただくことがあります。
    • 館内での飲食はご遠慮ください。
    • 館内の温湿度、照度は作品保護に適した環境に調整されていますので、ご了承ください。
    • 館内での写真・ビデオ撮影、模写ならびに鉛筆以外の筆記用具 の使用はお断りいたします。
    • 館内での携帯電話、携帯端末の使用はご遠慮ください。
    • 館内では係員の指示に従ってください。ご協力いただけない場合は退場していただくことがございます。
  • ※価格はすべて税込
  • ※エレベータ設備のないビルですので、予めご了承ください。
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