無鉄砲なアベンジャーズなのか、
旺盛なサービス精神なのか、
とにかくスゴい、
ミツヤのカレーメニュー
心斎橋ミツヤ
ミツヤでも“カレー推し”です!
日に日に気温の上がっていくこの季節。1℃上がるたびに「カレーが食べたい」指数も上昇。そう、夏といえばカレー。どれだけ身体がダルくとも、暑さで心が弱っていても、スパイスへの身体反射は「間違えない」のです。さて、今回伺ったのは心斎橋ミツヤさん。
パフェやあんみつといった甘味はもちろんのこと、こちらは「洋食」も大得意。それもそのはず、昭和20年代には喫茶・レストラン業態に力を注ぎ、一流料理店からもシェフを召喚してビーフシチューやハンバーグやエビフライやポークカツを供してきた。つまりは、関西における昭和洋食の礎。昭和22年に誕生した同店では「鉄板スパゲティ」を生み出すなど意欲的な姿勢は今も変わらず。代表作ともいえる『伝説のミツヤライス』を未食の方は、人生の体験として1回挑んでほしいもの。
そんなミツヤさんがカレーメニューを強化し始めたのは2023年の夏ごろ。とはいえ、この店のことですから、一筋縄ではいきません。基本となる「カレーライス」はもちろんのこと、「カレーオムライス」「カツカレーオムライス」といった、ヨダレ方向にラインナップ展開♡
なかでも、
・カレーライス
・デミカツライス
・オムライス
がいっぺんに味わえる『まんぷくトリプルライス』なんて、「おいおいなんの冗談?」とツッコミたくなるほどの豪華さ!
しかし、今回は取材です。取材の特権はフルに活用するのがプロの取材者。 『まんぷくトリプルライス』のさらにワンランクアップ『カルテットライス』に挑みます。
恒例のスペックチェックです。
12時の方向→オムライス&トマトソース
3時の方向→トンカツ&デミグラスソース
9時の方向→カレーライス
中央→エビフライwithタルタル
この「食べたかったもの全部乗せ」感!!!!
欧風カレーの上品さに完敗します。
まずは、カレーから攻める。先口は「甘い!」と感じて徐々にスパイシーさがグラデーション。とにかく「旨み」が強いんです。その正体は牛。たっぷり時間をかけて煮込んた溶け込んだ牛肉が目視できるカレーソース。30数種以上のスパイス(しかも調理直前に粉末にする周到さ!)は煮込みと仕上げの2段階で使い分け。ここまで柔らかかつ強かなスパイスのインパクトをガッチリと下支えるフォン(牛&野菜)の秀逸さは想像以上!!
流麗なデミグラス。これは大阪の宝です。
次に(本能的に)スプーンが向かったのは、デミカツ。もう覚醒ものの味わいでした。ミツヤさんのデミは「ソースだけで販売してないの?」とお客さんから聞かれるくらい、、中毒性高い完成度。牛肉を効かせたブラウンルーとピューレ&ケチャップのWトマト、そしてたっぷりの赤ワイン。7時間と3時間の2段階煮込み、かつ、寝かせや漉しの工程を経て、とにかくクリア!クリア!クリア!な美しい酸味際立つデミへと仕上がるのです。いや、ほんと、いろいろ食べ歩くワタクシも、ミツヤさんのデミほどの味には出会ったことがない。
そのデミソースをまとったカツが、これまた大変な事件。衣の1本1本がピーーーーーーンと立ったサックサクに甘みと旨みの豚!食べ進めると解るんですが、このカツがまったくクドくない。なんでも、近年にパン粉の目をさらに細かくすることで揚げ油を湛えないようにしたんだとか。一食をどのように味あわせるのか?に主眼を置いたブラッシュアップ、さすがミツヤと唸るばかり。
くるんと巻き込むオムライスは半熟が♡
さらには、オムライス。このオムライスがスゴかった。ライスをクルンと巻き込み、半熟でトロっとした卵がライスとマッチ。敢えての甘み打ち出しのトマトソースが一瞬で自分をコドモに戻してしまう、この憧憬!!!!しかしながら、カレーを食べに来たはずなのに、デミカツやらオムライスやら、こんなに贅沢を覚えてしまっていいんでしょうか。
真打はもちろん、エビフライ&タルタル。みなさま、こちらは最初っからタルタルをたっぷり付けて、周囲の目なんかまったく気にせず、モガっと大きなひと口を楽しんで。そうでなければ、そうでなければ、大人の贅沢は完結しないんです!
言うならば。子どもの頃にあれだけ食べたかったメニューが一気に大集結した『カルテットライス』。それは、まさしくアベンジャーズの豪華さ。1人だけでも興行収入確定なのに、何を血迷ったか全員集合させてしまった「無茶すぎるやろー」とワクワクが止まらないあの感じ。
それでいて、子どもの頃に味わっていた「分かりやすさ」や「スポイル」とは遠く距離を置き、味は大人風味の本格感に仕上がるという、絶妙なチューニング。だから敢えて気づく、自分は大人になってしまったのだなと(遠い目)。
かつて心斎橋ミツヤの小笹調理長はこう語っていました。
「大人も子どもも、幅広い層が好きな味というのは、正統で定番のものであったりします。その定番や正統は“基本”なくして成り立ちません。それを毎日継続して変わらぬ味を作りつづけること、これが私どもの仕事です」と。
そう、新しいものを生むより、定番を守ることはもっと難しい。昭和18年創業のミツヤの調理長様のお言葉はズッシリと重みがあり、深く納得するのでした。
とはいえ「変わらない」というのは実に解釈に難しい言葉なのです。例えば今回ワタクシが絶賛のデミグラスソース。昔はもっと苦みを打ち出した味わいだったのだとか。心斎橋ミツヤ創業から今までの長い年月の中で、幾度も幾度もアップデートを重ねて今の味へとたどり着いているのです。変わらないのは「各時代に求められる味を提供する」という信条。そのために、(手のかかる)昔ながらの製法も手放さないことが、心斎橋ミツヤの心斎橋ミツヤたるゆえん。
とにもかくにも。心斎橋ミツヤの洋食体験として、カレーもデミもトマトもぜーーーーんぶ味わえる『まんぷくトリプルライス』や『カルテットライス』(今回実食分)はぜひとも味わってみて欲しい逸品。これは一生涯の食味体験となること間違いありません。
◆心斎橋ミツヤ 絶品カレーメニュー
・カレーライス/858円
・カツカレー/1,188円
・カレーオムライス/990円
・カツカレーオムライス/1,320円
・まんぷくトリプルライス/1,353円
・カルテットライス/1,595円
※価格は税込です