2020.08.18

心斎橋ミツヤ

2020年7月3日、新生 心斎橋ミツヤ

さかのぼること明治30年の後半。六甲山から氷を切り出し、製氷して馬に運ばせ、現在の福島区で販売していた「小儀凍氷店」。当時、氷はとっても高価なもので一部の富裕層しか「味わう」ことがなかったそう。大正時代には機械で氷が作れるようになり、そして…大正10年。「小儀凍氷店」の小儀氏は「小儀式氷削機」を開発。庶民が気軽に「かき氷」を味わえる時代を牽引したのです。


リニューアル時に新たに制作された入口のステンドグラス

1947年、甘党喫茶「みつや」を開業。それから73年後の2020年7月3日。心斎橋ミツヤの新しい歴史が始まりました。そうです、リニューアルオープンした新生・心斎橋ミツヤ。


心斎橋ミツヤのシンボルとも言うべき入口上部の回転人形

お馴染みの3体はもちろん健在。クルクルと回りながら皆様を迎えます。ワタクシかつて、こんな紹介をさせていただきました。

そんな「心斎橋ミツヤ」は昭和22年創業の喫茶店。もう67歳のおばあちゃんです。店内には、ビールを傾ける老夫婦やママとランチの男の子。そして、どこのカフェに行くかモメにモメて、「じゃ、ミツヤでどうや?」で、落ち着いたっぽい、女子グループも。もう、このフロア全体が街の縮図のようなキャパシティ。守備範囲の広さ、寛大さは、さすが67歳のおばあちゃん。その懐の深さに皆が甘えて、ここちよーく過ごしています。ミツヤ、大好きです!

~心斎橋特集 2014年4月「散歩のとき何か食べたくなって」より〜

小さい頃、父との心斎橋へのお出かけはミツヤ。「好きなものを、おあがり」と言ってくれ、デミソースのついた口元をナプキンで拭いてくれた。学生の頃、授業をさぼって立ち寄ったのもミツヤ。ケーキを食べながら、友達と好きな人の話で盛り上がりました。逢いたい人と記憶の中で逢わせてくれるミツヤ。そして、今も変わらず、おんなじよーに、「ミツヤで誰と何を食べたか、どんな話をしたか…」を、お客さんたちが記憶に残しているのです。

その心斎橋ミツヤがどう変わったのか!?本日はなんと…創業者様の御令孫である小儀さんにご案内いただける運びとなりました…って、信じられない展開です(焦)。よろしくおねがいします!!

エントランスには除菌消毒スプレーが設置してあります。このスプレー、手をかざすと「シュっ」と出てくるタイプで、心斎橋でのお買い物で両手がふさがっている時もとっても助かる。その他、店内では感染拡大防止のための数々の取り組みをされています。

エントランスすぐのBOXタイプテーブル席です。皆様、この場所よく覚えているでしょ??その壁一面には道頓堀を描く壁画が!精巧な写実なのに、味わい深い画風は「ペン画」ならでは。座る席によって眺める場面が異なるため、何度も通ってコンプリートしたくなる!!こちらの画は…

心斎橋ミツヤを支える、とある方の手描きペン画なのです。そしてね、その方はいわゆる画家ではなくて……これ以上は秘密です。気になる方はお店でスタッフ様までお尋ねください。「へぇ~!」と驚かれる事間違いありません。

エントランスのドン尽きには、あの懐かしいステンドグラスがお待ちかね。新しくなった心斎橋ミツヤで、かつてのお馴染みの景色を彷彿とさせてくれます。いえ、間違いなく、このステンドグラスは「おかえり~」と言ってくれています。

さらに右奥にも、心斎橋ミツヤのアイコンであるお花「ブーゲンビリヤ」を象った半円のステンドグラスが飾ってあります。(ステンドグラスデザインは京都市立芸術大学名誉教授 鈴木先生が手掛けられているそうです)

さて、新生 心斎橋ミツヤには2階があります。こちらの階段、間接照明が上階へと誘ってくれます。なんとも素敵なアプローチ。

階段の壁面には心斎橋ミツヤの歴史を物語る写真が飾られます。1943年の1号店スタートや、、、

1946年開業の2号店(梅田)の様子に、、、、

1955年、きらびやかな宝塚スターの方々と撮影された貴重な1枚や、、、

自社工場のアイスクリームを百貨店屋上で販売していた頃などなど。

そして、私たちが良く知る、心斎橋ミツヤ本店の大ホール。皆様、右奥にある巨大スピーカーを覚えていますか?? このスピーカーは日本にも数台しかない大変希少なものであったそうです。今は、YAMAHAの博物館に飾られているそうです。なんというか…話のスケールが大きすぎです!

2階は貸切も可能なフロアが新設されました。床材の材質にまでこだわられ、これから先また、何十年と多くの人に利用されながら、木目が熟成を帯びていくのを待つ、まっさらな状態。テーブルはゾーニング自在なので、同窓会や趣味のお集りなどなど多彩なシーンに活用いただけます。「テーブルスペースにゆとりを持った配置もお任せください。お客様同士の距離を充分に空けたご案内も可能です。ご相談ください」と小儀さんもニッコリです。

さらにその奥に隣接するフロアには…おや?おや?

なんとYAMAHAのアップライト!そうなんです、お食事だけのお集りではなく、音楽を通じたお集りも可能。ちょっとした会食にピアノ演奏タイムを差し込んだり、サプライズで演奏のプレゼントなんかも素敵。クラシックのミニコンサートもOK。

聞くところによりますと、創業者の小儀米蔵様は相当の数寄者さんだったそう。当時は珍しかった舶来料理や舶来文化に造詣が深く、人とのつながりも幅広く、そう、一言でいえば粋な方だったそうなんです。そんな創業者様の面影が宿るピアノフロア。

壁面にはYAMAHAの調音パネルを貼り、空間の中での音のふくらみにも注力されています。これも心斎橋ミツヤを支える、とある方が手がけた設えだそう。あらためて…心斎橋ミツヤの歴史や真価、支える方々の愛着をうかがい知り、緊張度が限界値に達した私ですが、そんな緊張を解きほぐしてくれるのが・・・

この笑顔!!!作ってもできない、この笑顔。笑顔というより「はにかみ」。癒し系スタッフ小松さんの登場です。「しっかり撮影されとるか~~??」と、奥から田中店長様が覗いています笑
入社2年目の小松さん、そのキャラクターを一言で表すと「ポジティブ」。どんな困難も糧にして乗り越えていく、読書好きな好青年。アイデアを練り、ひるむことなく挑み、新しいことにチャレンジしていくお人柄は、まさに心斎橋ミツヤの歴史と重なり合います。こんな方々が将来、心斎橋ミツヤを引っ張っていくんですね。

そんな小松さんがイチオシのメニュー「あんみつ」。その発祥は大阪ではミツヤが初めてだということ、知ってました?? 戦後の価格統制をかいくぐった、商い人の知恵とアイデアと挑戦の結晶。「みつまめ」と「あん」のトッピングは今も同店に健在!

北海道産小豆を砂糖だけで炊いた「あんこ」。国産の最高級「黒蜜」。岐阜で天然素材を用い、昔ながらの製法で作られる「細寒天」。そして鮮やかなフルーツの数々。。。いま、グググっと惹き付けられた方は、もうこの記事最後まで読まなくていいですから、いますぐミツヤへGO!!!!

さらには、こちら「伝説のミツヤライス」。そう、ミツヤと言えば“洋食”です。一流の専門店からシェフを招き、脈々と継いできたミツヤの洋食文化。ハンバーグ・エビフライ・ポークカツなど、正統で定番のthe洋食は毎日継続して変わらぬ味わいで私たちを喜ばせてくれるんです。

そんな洋食を…ふわふわのオムライス+サクサクのポークカツ+ミートソーススパゲティと贅沢にも3種が、奇跡のワンプレートに。

オムライスは、一粒ずつにしっかりと味が付いたライスに、ふわふわ卵をのせて。これは懐かしさと「食べたかった定番」の味がどストライク!酸味を少しだけ尖らせた「プレーンソース」が卵の甘味もライスの甘味も際立たせます。

スパゲティをひとくち・・・。このミートソースの豊潤さ!お肉の旨味はしっかりあって、それでいて飽きのこないクリアな風合い。スパゲティに絡み付いて口中に入ると、しっかりと鼻孔を抜ける香りに、もーーーウットリ。歳月を重ねながら改良も重ねた、ミツヤのミートソースは、期待以上の印象で、ワタクシほんとうに驚きました。正統な正統なミートソースなのです。

時間を置いてしまったにも関わらず、パン粉はサクサク、分厚くて柔らかなポークカツ!もうどれが主役かよくわからなくて…夢中で食し続けるこの幸福感。量もすごいんですが、さらにすごいのが全体の味覚バランスなんです。豊潤なミートソース、酸味の効いたプレーンソース、ライスやスパの甘味、それぞれに異なる食感・旨味。

リニューアルした心斎橋ミツヤですが、これら伝統の味はそのままに。皆様のお気に入りの「あれ」で、至福のお食事を満喫ください♪

「私どもは2020年~を心斎橋ミツヤの“第三期”ととらえています。これからのミツヤにご期待ください」と話す小儀さん。皆が大好きなミツヤだからこそ、変わるものと変わらないものを見極められた今回のリニューアル。次の20年、30年、そして100年後も見据えて、「お客様のご満足が私たちの生きがいである」を一貫してゆきます。

元祖あんみつ 600円
クリームあんみつ 650円
わらび餅あんみつ 680円

伝説のミツヤライス 980円
ミツヤライス 850円(5/8サイズ)

※価格はすべて税別です。

店名:心斎橋ミツヤ
住所:大阪府大阪市中央区心斎橋筋2-3-21
TEL:06-6211-4751
URL:http://www.mitsuya.co.jp

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