2021.08.18

心斎橋ナイスパートナー!

結婚とは?仕事とは?

決して結婚だけが幸福の条件ではないし、仕事だけがやりがいでもない。「おし!充実」のスタイルは人の数ほど様々なのです。そんな中、やっぱり「結婚も仕事も」パートナーシップを組む方々のご様子を覗き見てみたい!それが今回のまとめ記事のテーマ。ここ心斎橋筋商店街で長きにわたって商いを営む老舗店のパートナーシップに、人生のヒントを見つけに周りました。そうしたら…出るわ出るわの名言の数々。是非ともご一読ください★

「商いが好き、人が好き」ワカイケ洋装店

ご登場いただくのは大正8年創業の洋装店「ワカイケ」さんから、若池伸晃様&若池雅恵様パートナー。2019年に100周年を迎えた同店は伸晃様で3代目。顧客様をメインにパーソナルオーダーを手掛ける老舗店は、神がかり的な審美眼から「生地×型×その方の肖像」などを複合的に精査。文字通り、世界に1着だけ、その方だけが似合う服作りの専門店。祖母様、お母様、お嬢様…と代々でワカイケさんを頼りとされる顧客様もおられます。

「顧客様からの厚い信頼は何によって培われてきたのか???」これが伸晃さん&雅恵さんのパートナーシップを探るヒント。雅恵さんは「反物の中で育ってきた」と伸晃さんを語ります。そう、生まれた時から生地に囲まれ、顧客様から要望を聴き取り、1着の洋服を仕上げていく2代目の様子を見て育った3代目伸晃さん。形も色もなにも「ない」ところから、顧客様の要望と期待を上回る服作りをしてきた2代目、そしてそれを継ぐ伸晃さん。

そんなお仕事の様子を初めて垣間見た38年前、雅恵さんは「これは一朝一夕で身につく仕事ではない」と震撼したと言います。とはいえ、さらにお話を伺うと…伸晃さんは雅恵さんに要望を一方的に押し付けるようなことは一切無く。仕事の相談や提案や意見など、とにかく雅恵さんの話を“聴く“ことにかけては「38年前から変わらない」一貫した姿勢です笑み話します。

当の伸晃さんはと言いますと。パーソナルオーダー専門店の視点から、この何十年にもわたる心斎橋の街の心情の流れを眺めて来た、と話してくれます。かつてはミナミの観劇へと向かう、旦那はんやいとさん&こいさん、ご縁の濃い、ある種憧れの場から、時代が進むにつれて、物も心も商圏が広がっていく。ついには、近年のインバウンドのように世界に広がる「心斎橋」。お洋服に求められる意識の中に、変化もあれば不易もあり。

お2人がパートナーシップを組んで38年間。どれだけ歳月が流れても、決して変わらないお気持ちがあります。それが「人が好き」という共通の想い。仕上がった1着を見た途端にハッと歓喜されるお客様の表情、このリアルな瞬間がお2人とも“たまらなく”嬉しいのだとか。「だから、私たちが直にお客様とやり取りするんです」と話す雅恵さん。「この瞬間は何ものにも替え難い」と笑み話す伸晃さん。“人を幸福にする商いが好きだ”それがお2人の変わらぬ気持ち。

その他にも、音楽やゴルフなどなど。お2人で楽しむ共通の趣味も盛りだくさんで、感性も似たお2人のようです♪ 公私にわたったパートナーシップで顧客様の厚い信頼を守っているようです。「これからも、よろしく」の気持ちをカタチに、エルボーバンプでご挨拶をしていただきました!

「阿吽の呼吸」という言葉がピッタリなお2人。インタビュー中も「あれ」「それ」の代名詞で会話が進むほど、言葉と心がガッチリとつながっていらっしゃる様子がうかがえました。ワカイケ洋装店のお仕事同様に、一朝一夕で培える信頼ではありませんね。

最後にオマケです!なんと、この雑誌のグラビアに写っている方…伸晃さんなんです。なんでも過去にサンプルサイズの合う素人ということで雑誌撮影に出かけると、数々の男性モデルを撮ってきたプロカメラマンから「君!いいね!」でモデル採用が突如決まったのだとか!!!なんか…むちゃくちゃカッコいいですよ!コレ、ワカイケ洋装店のトリビアです★

「自由なアーティスト」松屋呉服店

昭和21年創業の呉服屋「松屋」さんからは、柴橋弘宣様&柴橋真紀子様パートナー。創業70余年の呉服の老舗…なんて聞きますと、すっごく緊張する呉服屋さんを想像しますよね?実は同店は真逆の一軒。「祖母の着物をたくさん譲り受けたんだけれどどうしよう」「初めて着物を一式そろえるのですが…」などなど、着物にまつわるあらゆる相談に乗ってくださる老舗店。門戸を広く・守備範囲も広く、実生活の中でもっともっと着物・和装に親しんでいただきたいを信条とされています。

もちろんそれは、和装に対する正統な知識・確固たる美学をもってこそ。その上で、柔軟な視野を併せ持ってこそ。本日はパートナー歴33年のお2人をクローズアップ取材、そうしたら…松屋さんの「確固たる美学・柔軟な視野」の秘密が見えて来た!夏らしく浴衣でご登場いただいたお2人の装いチェックからスタートです♪

ご登場いただくのは弘宣さん。本日の1着は古典柄「鐶(かん)つなぎ」。舞台役者さんが稽古で身に着ける柄として、粋にも粋な1着なんです。連なった輪からなる意匠は「人のつながり」や「ご縁・縁起」を意味するのだと教えてくれ、本日の取材テーマ「ナイスパートナーズ」に合わせて選んでくださいました。そんなメタメッセージを込めるのも呉服ならではの遊び心ですね。

帯は博多の献上柄を敢えて浪人結びで。「この結び方ならば、車の運転も長時間の着席も楽なんですよ」と教えてくれます。いま!ビビビビビっと来たアナタ!そうなんです、和装はもっともっと気軽に日常生活でお洒落に遊べるってことを教えてくれるのが弘宣さんなんです。「浴衣は粋だけれど動きが不自由やねん」って、ソレもったいない思い込み!

ステテコを履いて、こんな風に「しりっぱしょり」にすれば、自転車だってOK!活動的に過ごしたい日も自由に身体が動くのです。ワタクシの極めて個人的な感想ですが、この「しりっぱしょり」なんだか粋でカッコいい★ヤンチャなのに上品なんて和装ならばこその絶妙すぎるほど絶妙ポイントではないでしょうか!通り一辺倒の「カッコイイ」から自由なセンスへ一気に飛べますよ♪

一方、真紀子さんは墨色グラデーションに桜が流れる絞りの1着。そう、絞りといえば浴衣の中でもワンランク上な生地。料亭や割烹へのお呼ばれにも最適なんです。そんな伝統に合わせる帯や帯留めにご注目ください。淡いグラデーションや可愛らしい花模様、そして髪に揺れるかんざしも。

そう、ワタクシはじめ女性の皆様、歳を重ねるごとに「かわいい」から遠ざかりませんか?「こんな歳だし…」って思い込み、ソレもったいない思い込み!和装ならばこんな風に自然に構えることなく「かわいい」を取り入れられるんです。弘宣さんの「しりっぱしょり」も真紀子さんの「かわいい」も、お洒落の固定概念にガチガチにされていた私たちを、むしろ伝統の「和装」を切り口に自由にしてくれる、これが「松屋」さんの真骨頂!

そんな松屋さんの魅力の秘密がここに。右は弘宣さんが描くイラストです。70年代に学生時代を送った柴橋さんですが、当時はまさにアメリカの西海岸カルチャーが旋風を起こしていた頃。その風を“まるごと”楽しんだ学生時代が、こんなイラストのテイストに軌跡を残して。一面は心斎橋の呉服屋さんの表情、もう一面にはかつてのアメリカンカルチャーを自由に愉しむ表情。
左は真紀子さんが認めた「己書」。自分の世界観を楽しく表現する新感覚の書として注目される「己書」の師範であり、輝月(きづき)道場の代表も務める真紀子さん。同道場は松屋さんの2階で定期開催されています。「己書」は自分だけの文字を慈しむ、まさに自由さが要。

そう、お2人の共通点がまさにココ!創業70余年の老舗呉服店を営みながら、どこまでも枠を超えた楽しみを追及するお2人。そんなお2人はお互いの感性や嗜好を尊重し合うパートナーシップで、例えば旅行先でも各自が行きたい場所へ行き、夕食時に合流して「どんな楽しみ方をしてきたか」を語り合うのが楽しいんだとか。お2人の“嗜好を尊重し合う”が松屋さんの「確固たる美学・柔軟な視野」の秘密だったんですね。 「これからも、よろしく」の気持ちをカタチに、フィストバンプでご挨拶をしていただきました!

「2人で挑む!」増田漆器店

1868年創業の「増田漆器店」さんからは、増田雅彦様&増田真実様パートナーが登場。増田漆器店さんは輪島塗(石川)や越前塗(福井)、山中塗(石川)や香川塗(香川)や会津塗(福島)に若狭塗(福井)などなど、全国の塗りの産地から卸を通さず商品を仕入れ。産地(職人さんたち)からも信頼の厚い老舗店は、2020年に新しくリニューアルオープンしたばかりです。

2017年に結婚、パートナー歴5年目となるお2人は同店の6代目を担います。創業から150年以上の歴史を誇る増田漆器店さんにおいて、お2人の若さはとっても際立ちます。ところがどうして、漆器への造詣や知識、大切な取り扱い方においても堂々としたもの。新しくなった同店では漆器に慣れ親しみの浅い方のご来店も増え、その多くが若い方たちだそうです。

「食洗器で洗えますか?」「外国の方に箸をプレゼントしたいんですが」そんな質問や相談に親身に応えていくお2人。今の時代に求められるニーズと後世に伝えていきたい伝統を一身に担い、今日も増田漆器店に立つのです。「同世代の方にも入りやすくて、興味を持っていただける、そんな店内づくりに余念がありません」と話してくれました。

とはいえ、とはいえですよ。素人のワタクシからしたら、150年以上の歴史は相当なプレッシャーではないかと…想像するんです。ですが、雅彦さんからも真実さんからも“前を見る”お言葉しか出てこない!そうです、1人ではプレッシャーかもしれませんが、2人だから「挑み」になる。パートナーシップの秘訣は「行き違いを喧嘩に昇華しないこと」。 「これからも、よろしく」の気持ちをカタチに、ガッツリ握手でご挨拶をしていただきました!

「心斎橋ナイスパートナー!」いかがでしたでしょうか?夫婦やお仕事に限らず…なにか人と人のつながり方のヒントをたくさん見つけてしまいました。今後もひとつのテーマから心斎橋筋商店街を掘り下げる「まとめ記事」。次回にもご期待ください★

■松屋呉服店
住所:大阪市中央区心斎橋筋1-5-19心斎橋筋「しんぶら街」なか
電話:06-6252-6829
URL:https://www.matsuyagofukuten.com/

■店名:増田漆器店
住所:大阪府大阪市中央区心斎橋筋2-7-1
TEL:06-6211-0683
URL:https://smasuda1.wixsite.com/shikki

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