2016.11.01

心斎橋アセンスがリニューアル

Store Info

  • 店名心斎橋アセンス
  • 住所大阪市中央区心斎橋筋1-6-10
  • 電話番号06-6253-0185
  • URLhttp://www.athens.co.jp
  • AREA
  • 4
  • WEST

ターニングポイントは常に「アセンス」でした。

ワタクシ事で失礼します。ワタクシには10年に1回の特別な本との出会いがあります。そのどれをも心斎橋アセンスで手に取りました。もちろんそれ以外にも、あらゆる書籍やアート、哲学にルポタージュ、歴史・古典に自然学、宗教や社会学やビジネス・政経や恋愛マニュアル(多くはコレ、90パーセントはコレ)など下品なくらいに雑読みをしてきました。なぜならば「アセンス」および「アセンスが選び並べる本」が魅惑的すぎたからです。ワタクシはアセンスから広い視座をもらいました。(恋愛マニュアルは身につきませんでした)そのアセンスが、一時休業となり、すっかりオンラインでの書籍購入が習慣づいて、視野はどんどんと狭くなっていったのです。

そのアセンスが心斎橋に帰ってきました。ほんとうにほんとうに待っていました!「心斎橋で本を買う」のアクションはなんとも感慨深いのです。その心斎橋アセンス、以前に比べてワンフロアに縮小。当然アイテム数も減っていながら、その魅力と強みはさらにパワーを増していたのです。この反比例!なんて悪魔的なの!?

まず驚かされたのは書籍と関連付けたフードの物販。この世界のつなげ方や広げ方は、作り手の心が注がれたモノと、大切に使いたいヒトを出逢わせる、普遍的な価値に満ちたセレクト雑貨ショップ「ABIRTH」(アセンスプロデュースの雑貨屋さん)を彷彿とさせてくれます。のっけから心弾ませてくださいます♪

さらにはこちらのカウンタースペース。ゆっくり書籍を選んだり、本を間に友人と話を弾ませたりもいいかもしれません。書籍と自分を静かに対峙させるのも、目前の誰かとコミニケートを深めるのも、本という力があってこそのスペースですね。

こちらのカウンターでは、面白いスツールを発見。「シューメーカーチェア」といって、北欧の靴職人さんが、作業用のチェアに使っていたデザインなんです。座面には長く座っても疲れにくいくぼみが彫られ、実生活から生まれたフォルムがなんとも粋。こんなところにもアセンスの「センス」を感じさせてくれます。

では、いよいよ本棚を拝見。ワタクシいつも「アセンス」で並ぶ棚を眺めると、だれかひとりのキャラクターを持った「超人」(※ゆでたまご先生のソレではなく、ニーチェ先生のソレです)の私的な本棚を覗き見ているようで、ゾクゾクとしてきます。オンラインでの書籍購入では味わえない感覚です。
まったく知らない世界観に触れている手触りが、ヒリヒリとしたりポワンと温まったりと、「書店」ならばこそ味わえる興奮で息が上がるのです。

リニューアル後の同店はそのゾクゾク感がパワーを増しています。いや、これぞアセンス!なほどの魅惑です。
たとえばこちらは「暮らし」「緑の棚」。「緑の棚」では「みどり」という大きな視座で、園芸や実用、そして概念や提言、歴史に自然学と、ひとつの世界の体系を成しています。まるで棚全体がいっこの生き物のようにグイグイと自分に迫ってきます。迫ってくるのは未知・未知・未知で、未だ知らない万象が鮮やかすぎるほど極彩色に「これでもか」ってくらいの圧巻なのです。

たとえばこちらの「社会・歴史」「考える棚」。「考える棚」では、哲学、社会学、生命学などの従来の分類が無意味に思えるほど。それらカテゴライズされる分野は、本来は万象の切り取りにすぎなくて、すべてがこの棚の中へとひとつに戻ってきたかのようなラインナップ。関連付けられたかのように陳列された背表紙が、思考の本来の楽しみを悠々と物語ってくれます。鷲田清一先生の書籍の下に、宇宙関連の一冊が配されるとは、なんともシビレます。

そんな風に、書店の愉しさやアセンスの発信に圧倒されるワタクシなのですが、取材対応いただいた磯上さんから、さらに興味深い話を伺いました。リニューアルしたアセンスは、これまで以上に利用者様と「本を媒介とした」コミュニケーションに専心したい、とのこと。これまでだって、一方通行の発信ではなかった、けれど、さらにさらに読まれる方のニーズを発掘していきたいのだと。

「本から何を得たいか」「本に何を求めるのか」そんな利用者自身の問いかけを、より密度高く奥深くしてくれるのが、こんな「緑の棚」や「考える棚」のようなセレクトとラインナップ。従来のアセンスならではの尖りは、一見、鳴りを潜めているようで、虎視眈々と息づいているのです。鋭角ではなく曲線で、流動的に、ふり幅の広い緩急で。

そうならば!と、磯上さんにさっそく無茶ぶりのワタクシです。「最近、またフラレマシタ。このままでは世を呪い、イジケながら生きていきそうです。なにか特効薬や処方箋はないでしょうか?」なんという無茶ぶり…にも関わらず、案内いただいたのは「物語の棚」。

児童文学やファンタジーも並ぶ「物語の棚」は、幅広い年齢層の方々への贈答にもうってつけらしく、「本を贈りたい」という方にもおススメとのこと。たとえば、出産した友人へ、入学した姪っ子に、結婚した親友へ、と、ターニングポイントへの御祝いに「おススメの本を」と相談されることもあるそうです。磯上さん、迷いなく一冊を選びスッと手に。

そして、マジマジと選んだ一冊の表紙に見入ります。ワタクシ、知っています。この動作は、本を慈しんでる人や本を偏愛(すみません!)する人、本に絶大な信頼を寄せる人の動作です。こんな風に選んでもらい、おススメいただいたのが・・・

「ここにないもの 哲学的対話」野矢茂樹 文 植田真絵。「野矢茂樹」氏の名前を拝見し、一瞬怯んだワタクシ。
この著者の論理学入門で赤点を取り続けた学生時代を思い出し…。なんとも※%○●#(;゚;Д;゚;)な気分に・・。お願いしといて「む、むりです」とはもちろん言えず。

「難しくないんですか(;゚;Д;゚;)
」と伺うと、磯上さんはニッコリ。「言葉の意味を探りながら、言葉で世界の意味を作ってゆくという哲学物語です。
二人の登場人物が、普段の言葉で対話をする形式です。難しい言葉は出てきません。ほんとうに読みやすいんですよ!」とのこと。これを聞いて、非常に安堵、しかも興味までそそられるとはなんとも感激!

リニューアルしたアセンスの、本を媒介としたコミニケートを体感し、さらにさらにアセンスファンに加速が加わるワタクシです。
毎日でも通いたい!!そんな気分にさせてくれること間違いなし。まだ足を向けられていない方、是非とも一度のぞいてみてください。新しいアセンスが待っています。

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