2021.02.15

名画のナゾを解け!

まずはご覧ください。


【神奈川沖浪裏(かながわおきなみうら)】

これは浮世絵版画です。浮世絵版画とは・・・18世紀になってからは江戸を中心に多くの人々に大衆文化として広まり、浮世絵師たちは、時代の最先端をいく風俗や話題を追い求め、常に趣向を凝らした描写で「今」を表現しました。と、大阪浮世絵美術館の公式サイトに解説がありました。そしてこの1点は、冨嶽三十六景(ふがくさんじゅうろっけい)シリーズの「神奈川沖浪裏(かながわおきなみうら)」1832年頃に…かの葛飾北斎が描いたもの。

そうなんです。心斎橋筋商店街ではいま、「葛飾北斎祭」を鑑賞できるのです。実は…2020年の昨年は葛飾北斎生誕260年。この節目の年に世界に影響を与えた北斎の偉業を称える形で、企画展「葛飾北斎祭」を開催しているのが・・・・

大阪浮世絵美術館!「浮世絵??興味ない」なんて思った、そこのアナタ!惜しい、ほんとうにもったいない、実にもったいない。実は浮世絵って、描かれている背景や物語を知ると、ほんとうにおもしろい!ある種の謎が解き明かされると、さらに面白く鑑賞ができるんです。

本日、取材のためにご案内いただくのが当館の山本さん。山本さんは話します。「ゴッホのひまわりやフェルメールの真珠の耳飾りの少女、そしてもちろんダ・ヴィンチのモナ・リザ。それに匹敵する程に世界的に有名な絵画が日本にあります」と。それが・・・・


【神奈川沖浪裏(かながわおきなみうら)】

冒頭に登場した葛飾北斎「神奈川沖浪裏(かながわおきなみうら)」。ワタクシ知っています。美術部にいたとき、ダイナミックな波の曲線や色使い、富士山の位置など構図や色のレポート書いて評価5でした!そこで山本さんはニヤリと。「では、ここに描かれる“人”って、どんな人だと思います??」

人???それは見ているようで見えていなかった!学校で教わらなかった着眼にワタクシ驚愕。確かに大波に飲み込まれんばかりの三艘の船。そこにしがみつくように並ぶ8人の漕ぎ手。なんでこんな高い波の日に船を出すの??なんでこんな危険なことをしているの??なんで?なんで?一瞬で疑問が興味に変わり、描かれる大波が…もっともっと怖くて脅威に感じ始めるのです。

その謎を解き明かすべく、山本さんは…まずこの船の特徴を教えてくれます。この船は「押送船(おしおくりふね)」。江戸近海で獲れた鮮魚を江戸の市場に輸送することがこの船の役割。と、いうことは。。輸送のために沖に出ているところに大波に合っちゃったのかな??無事に切り抜けて、欲しい…などと思ったら、実はそれも違う!?山本さんの謎解きは続きます。

謎解きのヒントはこの部分。紺色と薄青と白色で構成されるこの波や海原。これがまた、海波の怖さを強調するんだけれど…あれ?と感じるワタクシに山本さんは「そう!日本古来の伝統的なシマシマ模様【鰹縞(かつおじま】にも見えませんか?」と。この「カツオ」もヒントのひとつ。さぁ、ここからは一気に謎解きだっ。

なぜ、こんな大波の日に「押送船(おしおくりふね)」は漕ぎ出したのか?この船は史実に残るほどの高速性能を誇ったそうです。黒船来航時には、アメリカ艦の小型船(カッター)を上回る威力を発揮したそう。そんな船を大波の中で操り進める彼らが運んでいたのは「カツオ」ではなかろうか?当時の江戸で大人気のカツオを、初物(はつもの)としていち早く市場に届けるため、全速力で大波の間を縫っていく。そんなワンシーン。

そんな説を知って、もう一度見てみる。す る と…先ほどとは全く違う物語が見えてくる!「大波が怖い!怖い!もういやだー」って声ではなく、「どぉりゃーーーーーーーーっ!大波がなんじゃいっ!初物をいちばんに届けんねやっ!一攫千金やでぇ、やったるでぇっ、漕げ焦げ焦げぇ~~~!」と、(なぜか関西弁)彼らの声が聴こえてきそうな高揚感!ああ!そうだったんだ、彼らは負けそうだったんではなく、むしろ勝ちを「取り」に行ってたんだ!

なんて面白い浮世絵の世界!着眼するポイントを人物に変えて、描かれるディティールを知る、それだけで…眺めている気分が変わるなんて。とかく構図や色使いに解説の重きを置かれがちな「神奈川沖浪裏(かながわおきなみうら)」だからこそ、着眼の反転効果は絶大!こんな風に浮世絵を鑑賞できる…そんなイベントも開催中、それが・・・・

「クイズ!浮世絵版画でみる 江戸時代の女性を探せ!」なんです。江戸時代の庶民の日常生活が窺える浮世絵。例えば「女性」。一口に女性と言っても、様々な場面、服装の女性が描かれています。展示作品内の女性を探すクイズシートで、描かれる女性から当時の生活や習慣をひも解くというイベント。全問正解者にはささやかなプレゼント(数量限定)も用意されています♪

さて、 「神奈川沖浪裏(かながわおきなみうら)」に話を戻しましょう。同画は2020年3月に日本のパスポートの査証欄に採用されました。また、2024年から発行される1000円札にもデザイン採用が決定しています。渡航の際やお金を使う時、「大波が怖いよ~」の印象と「おっしゃ!やったるでぇ~っ」の印象だったら…後者の方が断然いい♪なんだかポジティブな心持になりますね。


【凱風快晴(がいふうかいせい)】

さて「葛飾北斎祭」は今月28日までの開催。「冨嶽三十六景」のうち特に人気の高い「凱風快晴(がいふうかいせい)」や・・・


【山下白雨(さんかはくう)】

「山下白雨(さんかはくう)」、そして先述の「神奈川沖浪裏(かながわおきなみうら)」も・・・

実際に眺めることができます。「スマホで画像で観れればいいよ」なんて思ったそこのアナタ。惜しい、ほんとうにもったいない、実にもったいない。肉眼で詳細に線や色を追うからこそ、自分なりきの「発見」が待っているんです。そしてもういちど後ろ足で、ゆっくりと下がって…もういちど一気に俯瞰で眺めてみる。馴染みある名画の、また違った魅力に気づくはず。それが、謎解きの醍醐味ですよ♪

◇葛飾北斎 祭 ー生誕260年記念企画-
 展示期間:2021年2月28日(日)

◇クイズ!浮世絵版画でみる 江戸時代の女性を探せ!
 対象:企画展示室に入館するお客様全員
 期間:2020年11月21日(土)~ ※プレゼントなくなり次第終了

◇入館料
 ・大人 1000円(ポストカード付は1200円)
 ・学生 600円(ポストカード付は800円)※学生証提示
 ・小学生 300円 ※7~12歳

・現在、新型コロナウイルス感染症対策を行っております。
 ご来館前に必ず公式サイトをご確認ください。
・入場券1枚にて1名様に限り有効です。再入場はできません。
・入場券は切り離し無効です。
・入場券の払戻、交換、再発行はできません。
・館内の混雑の際には、入場をお待ちいただくことがあります。
・館内での飲食はご遠慮ください。
・館内の温湿度、照度は作品保護に適した環境に調整されていますので、ご了承ください。
・館内での写真・ビデオ撮影、模写ならびに鉛筆以外の筆記用具 の使用はお断りいたします。
・館内での携帯電話、携帯端末の使用はご遠慮ください。
・館内では係員の指示に従ってください。ご協力いただけない場合は退場していただくことがございます。

※エレベータ設備のないビルですので、予めご了承ください。
※ショップのみのご利用は、入館料不要です。お気軽にご来館ください。

店名:大阪浮世絵美術館
住所:大阪市中央区心斎橋筋2-2-23 不二家心斎橋ビル3F
TEL:06-4256-1311
URL:https://osaka-ukiyoe-museum.com

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