2024.07.24

人間模様が面白い!浮世絵の世界
お祭りあり、労働あり、旅行あり
人のパワーが炸裂しまくってる!

大阪浮世絵美術館

日本のちいかわ人気を紐解くと、日本の浮世絵にたどり着く???

2024年はちいかわ一強ですね。何がそんなに人気なのか?一説には「労働したり、イベントに行ったり、冒険のような長旅に出たり、なんだか人間世界の縮図っぽい」とのこと。そう!私たちの実生活に地続きな世界が興味深く描かれる、そんなところが面白味となっているそうなんです。あれ???これって、アレと同じじゃない??そう、アレよアレ。そういう実生活との地続きを興味深く面白く描く趣向って、日本にはむかしっからあるんですよ!

なんで、そんなことを思い出したのか。それは大阪浮世絵美術館の企画展『歌川広重 うきうき浮世絵 展』を取材に来たことに起因するのです。公式サイトによると…「歌川広重の作品を中心に、浮世(江戸時代の“今”のこと)をうきうきと謳歌して生きている「人」に焦点をあてた浮世絵版画の企画展。(中略)旅行やお祭りなどでうきうきと過ごす江戸時代の人々を、当時摺られたオリジナルの浮世絵版画でどうぞお楽しみください。」とのこと。結論書いちゃうよ、これスッゴク面白い企画展なんです!!!

ざっくりと見どころを解説します。

【ポイント①旅のわくわく】

歌川広重の代表作 保永堂版「東海道五十三次」

【ポイント②名所を訪れるどきどき】

「京都名所之内」「浪花名所図会」など広重の人気の高い作品

さらには、国芳・芳艶・貞秀といった歌川派の浮世絵師や、広重の名を襲名した門人二代広重や三代広重の作品など、合わせて55点の浮世絵版画を展示。
作品の中で描かれる「祭」や「旅」や「労働」が臨場感たっぷり。ざっと、映画100本を一気に鑑賞するくらいの密度の高さ♪

歌川広重 東海道五十三次/宮 熱田神事

本日は取材の特権にて学芸員さんの直接解説付き。それではご紹介しましょう、歌川広重『宮 熱田神事』です。伊勢神宮、明治神宮とともに日本三大神宮に数えられる、名古屋の熱田神宮。ここで行われた「馬の塔」というお祭りを描いた作品。馬を奉納する際に競争させる習わしがいきいきと!

ご覧ください、このドタバタ劇。関西各地のだんじり祭りに慣れ親しむ私どもには、どれだけの躍動感か想像できますよね。描かれる人たちが皆おおきな口を開けて競争に負けじと勢いづくこの瞬間!笑顔で楽しむ人もいれば、

このおじさんなんて超超超真剣!「絶対負けられない」と阪神タイガースを応援してる時のうちのオトンみたいです。ドドドドドーーーーっと地響きや掛け声が聞こえそうなほどの臨場感。これはかなりの盛り上がりではないでしょうか(わくわく&どきどき)。その時、学芸員さんが当館で貸し出されているルーペを手渡してくださいました。

なんと!この盛り上がりをしり目に、焚火でチルッてる人物が!おいおいおいおいおい~なぜそこでマッタリ??そうなんです、祭りの当事者と傍観者の熱量差がやけにリアルで、「そうそう、祭りって実際こんな感じもある」って、思わず笑ってしまう!

ここで一歩引いて俯瞰で眺めてみる。するとかなり面白いことに気づかされます。そう、この右手前のフレームアウトする鳥居です。ドカンと大胆に配置される構図、作品を眺めるワタクシの視点をグググっと引いて引き上げる装置かのような。。。この視点の移行がなんとも魅力的で、実際に作品を目前にして、立ち位置を前後に移動しながら眺めるからこそ感じ取れる面白味なんですよね。

歌川広重 京都名所之内/淀川

一方、こちらの歌川広重『淀川』は何ともゆったりとした情景が流れます。ほわんほわんと流れゆく景色、進む客船。いいねぇ、いいねぇ、このふわふわ感!

このふんわり感を醸し出しているのが、ここの描写。空と水面の曖昧な境界線、はかないグラデーション。柔らかい月光がオボロな情景を作り出しています。

その時、学芸員さんが当館で貸し出されているルーペを手渡してくださいました。

覗き見たのは、ふんわり情景とは真逆のワチャワチャとした乗客たち(わくわく&どきどき)!天狗面を携えてお参りに向かう人物も。この天狗面のチラ見せがかなり興味をそそられます。

よく見ると、船内はたくさんの人人人。乳児に母乳をやる母親や、話し込む男性たち、お猪口で一杯を決め込む旦那はん。そして客船のそばにピッタリと沿うのが「くわらんか舟」。乗客に飲食を売る人たちの姿が。大きな鉄なべから椀へと食事をよそって、客人へと渡しています。何を食べるのかは分かりません、それでもただただ旨そう…なイメージ!なんて高密度な船内でしょうか。

そこで、一歩引いて俯瞰で眺めてみると、この情景と船内の対比がかなり面白い。圧倒的に面積を占める空と水面に対して、密度高く描かれる乗客たち。これも、実際に肉眼で眺めるからこそ味わえる対比なのです。

こんな風に、浮世絵から垣間見る人々の営み。 「労働したり、イベントに行ったり、冒険のような長旅に出たり、なんだか人間世界の縮図っぽい」ではなく、現代と地続きにあるかつての日本の情景。うきうきと過ごす江戸時代の人々にぜひとも会いに来てみてください。 『歌川広重 うきうき浮世絵 展』は2024年7月21日までの開催です。

そして、2024年7月23日(火)からは『浮世絵が語る 日本の名山』が始まります。世界的に有名な葛飾北斎、風景画が人気の歌川広重、そして、新版画の吉田博。この3名の絵師を主軸に、富士山や、関西&東海道の山々が描かれた浮世絵版画57点が展示されます。3者が描く富士の違いを肉眼で味わえる、またとない機会です!

夏季休暇に遠方からお越しになる方!館内の物販コーナーは企画展の鑑賞料は無料です。浮世絵にまつわるさまざまなアイテムを見に来てみてください。本物の浮世絵が購入できるコーナーもあります!

◇歌川広重 うきうき浮世絵 展
展示期間:2024年7月21日(日)

◇入館料
・大人 1000円
・学生 600円 ※学生証提示
・小学生 300円 ※7~12歳

 

◇真近でじっくり
当館の展示室内には柵を設けず、無料貸し出しのルーペを使って繊細な浮世絵版画の技術や細かく摺られた模様などを間近でじっくりとご鑑賞いただけます。(数に限りがございます。全て貸出中の場合はご容赦ください)

・入場券1枚にて1名様に限り有効です。再入場はできません。
・入場券は切り離し無効です。
・入場券の払戻、交換、再発行はできません。
・館内の混雑の際には、入場をお待ちいただくことがあります。
・館内での飲食はご遠慮ください。
・館内の温湿度、照度は作品保護に適した環境に調整されていますので、ご了承ください。
・館内での写真・ビデオ撮影、模写ならびに鉛筆以外の筆記用具 の使用はお断りいたします。
・館内での携帯電話、携帯端末の使用はご遠慮ください。
・館内では係員の指示に従ってください。ご協力いただけない場合は退場していただくことがございます。

 

◆2024年7月23日からはこちらがスタート!
『浮世絵が語る 日本の名山』
展示期間:2024年7月23日(火)~2025年2月16日(日)

※エレベータ設備のないビルですので、予めご了承ください。
※ショップのみのご利用は、入館料不要です。お気軽にご来館ください。
※ご来館前に公式サイトをチェックいただくとよりスムーズにご利用&ご鑑賞いただけます。

店名:大阪浮世絵美術館
住所:大阪市中央区心斎橋筋2-2-23 不二家心斎橋ビル3F
TEL:06-4256-1311
URL:https://osaka-ukiyoe-museum.com

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