2023.08.30

おおさか「むかしの味」を探索!
あんみつやミックスジュースが待っている♡

心斎橋ミツヤ/LiBARE

ワタクシが表紙がすり減るほど読んだのが池波正太郎『むかしの味』。そして、向田邦子『父の詫び状』。どちらも昭和史を後世に伝えるに永久に残したいとも言われる文化史であり記録史でもある………が、しかし、ワタクシはそんな読み方はしてまへん。もうとにかく家庭の卓上も外食もグルメシーンが垂涎ものの魅力。そう、過日より続く「むかしの味」は普遍の魅力にあふれてる♡今回は心斎橋筋商店街で「むかし(から)の味」探しに出てみました!

何度でも書く。ミツヤの「元祖あんみつ」を食べよう!!/心斎橋ミツヤ

「また、ミツヤのあんみつの話?」と思った、そこのアナタ。ワタクシは何度でも書くからね。なぜならばこれは後世に残さなければならない味だから。その理由はこことかにも書いてあるから読んでみて。今回は違う方向から。昨年ワタクシは「あんみつ中毒」になった。ふとしたことから「あんみつWoke(目覚める)」があり、東京まで遠征。銀座のW店、浅草のB店、上野のM店に亀戸のF店…もうそれはそれは手当たり次第に老舗店を実食して周った。コンビニ商材も主だったところは制覇したし、各種スーパーマーケットも周った。ワタクシが365日をあんみつに注ぎ込み、導き出した答えは「心斎橋ミツヤの〈元祖あんみつ〉がいちばん旨い」である。これが終着点でやっと中毒から解放され、いま落ち着いてこの記事を書いている。

前置きとして「あんみつ」は和風パフェである。いろんなエレメントが一杯に詰め込まれ、各素材が共鳴し合いながら、食べ始めから終宴までの合奏のようなもの。時にアリアが挿入されたり、テンションノートがブワッと広がったりする。そのスタート→ゴールをどう現わすかに各店の設計思想がコード化され、読み取った(味わった)ワタクシを打ち震わす。おおげさやないで、「あんみつ」ってスゴイねんで!

ワタクシがこんな血迷ったテンションになっていることもつゆ知らず、今日も中川店長様は通常運転で「元祖 あんみつ」を提供してくださった。心なしか「(素敵な旅へ)いってらっしゃい」とアルカイックな笑みを湛えてくれている。さて、本日も「日本一うまい 心斎橋ミツヤのあんみつ」へと旅立ちます。

【味わいの定石-1 まずは、あんこ】
まずは、あんこ。このあんこは舌上に載せて摺りつぶされた途端に歌い出す!甘味の輪郭がパキッと際立ち、輪郭内の緩急だの濃淡だのに大豆の旨味とザラリとした自然の食感が悠々と!北海道産小豆を砂糖だけで炊いたというミツヤオリジナルレシピ。取材でレシピ内容を何度聞いても「さてね~どうだっけ?」とゴマかされ続けていることも特筆しておきます。

【味わいの定石-2 つぎに、白玉】
つぎに、白玉。「もう行くの?」と思ったアナタ。白玉はね、このタイミングなのよ。まだ口がいろんな味に染まらないうちに、この端正さを口内に広げておく。特にミツヤの白玉は雑味のないクリアな風合いなので、その後のエレメントをやさしく受け止める意味でも、このタイミングがベストにして唯一。

【味わいの定石-3 つぎに、寒天】
つぎに、寒天。これは器の下半分に「これでもかっ」ってくらい敷き詰めてあるから、匙で掘り起こして欲しい。サイズも形も不揃いの中から「極力大ぶり」の本日初めて寒天を選り抜いて。艶やかな透明感を充分に眺めてから口内へ。ピンと張った表面からクニャリと儚い内部…そのテクスチャーコンビネーションに恍惚と。昔ながらの製法で造り続けているそうです。

【味わいの定石-4 ここで、きょうの黒蜜チェック】
ここで、きょうの黒蜜チェック。最初っからビヤーーーーーーってかけないこと。アカンでそんなんしたら!まずは匙にとり、ゆっくりと味わう。心斎橋ミツヤの黒蜜はね、味わう余韻のほうに「甘味」が現れる。先口は黙ってる、中口から後口に進むに従い、ささやき始める。こ れ よ!!!!!この品の良さ。。いいかね、ここが東京勢との最も大きな違いであり優位性。

【味わいの定石-5 コンビネーション 】
もうひとつ、東京勢との最も大きな違いであり優位性を訴えるならば。構成要素の抑制美が挙げられる。なにやら、求肥や杏(あんず)も散りばめる東のソレは、ワタクシからしたらTOO MUCH。マテリアルは最小限でいい、というか最小限でなくてはならない。各素材そのもの、そして素材同士の対峙、さらには黒蜜が適える味変と、実は「味わいに忙しい」のがあんみつなのである。充分に、いやほんとに充分に味わい尽くすならば、素材は最小限でなければならないし、ミツヤの場合は果実部門に「パイン(酸味)」や「黄桃(甘味)」といった一般馴染みのあるものを搭載して、「気の散り」を抑止している。決して奇をてらわない。このあたりが、心斎橋ミツヤの設計思想の核たる部分ではなかろうか!?

【味わいの定石-6 ここからが本番】
さて、ここまで丁寧に味わったら、この先はぞんぶんに行くで。器を持ち上げて、ムシャムシャと夢中になったらええねん。誰かに見られても、引かれたってかまわんがな。寒天、あんこ、白玉、パイン、黄桃、黒蜜…単独でもコンビでもトリプルでも、心ゆくまで!!!!!

【味わいの定石-7 ふっくらの箸休め】
途中の寄り道はもちろん「赤えんどうまめ」。ふっくらと炊きあげられたやさしい食感に、程よい塩味で麗しいスタッカート。いや~~~今日も「元祖 あんみつ」は奏でてますなー♪♪♪

【味わいの定石-8 後口をどちらにするか問題 】
最後のテーマは「後口をどちらにするか問題。ミツヤのあんみつには日本茶が添えられて、温かくフィナーレを迎えることができます。しかしながら、最後までとっておいた「さくらんぼ」がこれまた憧憬の味にて、温かな記憶でフィナーレを迎えることができます。ワタクシは最後はサクランボ派です。理由は「好きなものはいちばん最後にあじわいたい」からです。

【味わいの定石-9 ニコニコ笑顔で秘密主義】
再度ご登場の中川店長様と心斎橋ミツヤの小儀様です。いつもいつも取材への御協力を誠にありがとうございます。お2人はじめ、スタッフの皆様がニッコリと迎えてくれることを励みにワタクシも頑張っております。さて、ミツヤさんへの取材も約10年。そろそろ「さてね~どうだっけ?」の秘密主義を解除して、どうかどうかワタクシに実は…なスクープいただけませんか。今年で創業80年、どんな媒体にも明かさなかったビッグネタをぜひワタクシに!!!

そこで、いただいたのが…今夏からスタートするシャインマスカットフェアの件。なんと!ミツヤのアイコン「あんみつ」がシャインマスカットVer.で登場です。ハァハァ(過呼吸)。この画像を目視しただけでも…コロコロと煌めくシャインマスカット、白玉、あんこ、ミカン、クリーム・・・・・!もちろん期間限定メニュー。気になる方はミツヤへGOOOOO!!!

大好物の「元祖 あんみつ」を味わい尽くし、新たなメニュー(しかも…豪華)までいただき、情報量いっぱいでフラフラのワタクシ。見上げるといつもの3人がクルクルと回りながら「美味しかった?」と話しかけてきます。そういえば…このコたちって名前ってあるんでしょうか?また、心斎橋ミツヤさんに聞いてみます。

謎が謎を呼ぶ…ジューススタンドの歴史は大阪にあり???/LiBARE(大丸心斎橋B1F)

『日本でジューススタンドがはじめて駅構内に設置されたのは大阪梅田駅』というまことしやかな情報を多くのグルメライターたちが追ってきました。ところがここに謎がひとつ。『駅構内ではなく、百貨店にジューススタンドが出展された国内初の地はどこなのか?』これを追った記事がいくら探しても出てこない。でも、ワタクシ含め多くの皆様が<百貨店=ジューススタンド>という認識を持っており、「むかしの味」としては探らずにいられません。そこで、やってきたのが大丸心斎橋店B1F『LiBARE(リバーレ)』。ところが!!!謎は解明されるどころか深まるばかり。歴史を紐解くのは容易なことではありません。だからこそっっ!魅せられるわけなのです。

『LiBARE(リバーレ)』、このジューススタンドそれ自体が様々な謎に包まれています。まずは【砂糖やシロップなどの糖添加】は一切していないこと。つまりは「甘味」は100%フルーツだけのジュースであると。これはとんでもないことなのです。だって、ゴマかしが一切効かないんですよ!果実の味がそのまま商品クオリティに反映されるというのですからっ!

もうひとつの謎がこちら。注文が入ってからしか作らない、というこだわりっぷり。どんなに多忙でも繁忙でも、作り置きは一切しない。「フレッシュ」の文字が堂々と光り輝いています。取材のこの日も、この店の前を「通り過ぎることのできなかった」お客様の数々数々数々。それも老若男女問わず。素敵マダムもおられました、元気そうなおにーさんもいました。

そんな多くの方の心をカドワカしマドワす『LiBARE』。見せてもらおうか、その実力とやらを。。まずは、店内人気NO.1「フルーツミックス ジュース」です。さっそくだけど、ワタクシあれ向かんねん。大阪の名物みたいに言われているけれど、濃いぃねんて。飲んだ瞬間カーーーン来るやん?そう思ったこのあと、この認識は100%覆されるのです!!!

内容は…バナナ、パイン、オレンジ、そしてミルクと氷。ほんとうにたったコレだけ。シロップもなければハチミツもなし。グルグルと急回転のジューサーが止み、カップへと注がれるこの一瞬。そう!もうね、暴力的なくらい「トローーーー」って、鬼ほど「トローーーー」って。果実だけのトロみと粘度が目視だけでありありとわかる♡きやぁ♡

恐る恐るのひと口…もう、目が飛び出たね。舌上に広がるやわらかーーーなトロみ。そして、極めて自然なやさしい甘味。カーンなんて来うへんよ、まったく、カーンやなくて「ふわっ」。大事な事なのでもう1回書いておく、カーンやなくて「ふわっ」。なんて淡くて上品なんだろう!?心配したスタッフさんから「セルフでオリゴ糖で甘みも追加できますよ」と親切にお声がけいただきましたが、いや、いらない。これはこのまま、極上の味わいを堪能し尽くしたい★

次にご紹介いただいたのが期間限定メニュー「すいかジュース」。なんと注文が入ってからカットを始めるというこだわりぶりで、瑞々しいすいかをカッカッカッカと切って行かれます。

それを…大胆にもゴロゴロとジューサーへ。そうして、回し始めようとするもんだから、ワタクシ思わずスタッフさんに「他になにも入れないんですか?」なんていらん口挟んじゃって、そうしたらスタッフさんがニッコリ笑顔で「はい!こちらは100%スイカだけなんです」と。これには驚いたねぇ、なんちゅー自信なの!!!

そうして出来上がったのがコレ。ひと口いただいて、これも目が飛び出た。ジューサーでしっかりと撹拌されたスイカは超が1000コつくほど「ふんわり」テクスチャー。それでいて、しっかりとすいか味なのよ。分かっていただける?すいかという果物をいちど解体してもいっかい再構築した、その、あの、エル・ブジ的な感動っての?一瞬「?」となって、次に「あぁーーー!」と嬉しくなっちゃうアレ。この一杯は是非とも体験してみて欲しい♡

「フルーツミックス ジュース」も「すいかジュース」も、実は先述の情報以外新しい情報は得られていないの。相当に強固な流通で極上のフルーツを入荷しているのでは?と問えば「果物本来の味が感じられる逸品を選んでいます」とかわされて、カップに仕掛けられた謎コード「hatokin since1937」のメッセージを問えば「詳しい事はわかりませんねぇ」とトボけられて、ジュースの驚きの美味しさもあいまって、謎がさらに謎を呼んで、謎だらけの『LiBARE』。

ただ、いっこだけわかったことがある。取材の終わりに「お味どうでした?」とニッコリと聞かれて、あ!たぶん、「頭でっかちに考えて味わっちゃダメってことなんだわ」と気づいたのです。スタッフさんが終始気にしているのは「ワタシがどう感じたか?満足できたか?」ということ〈だけ〉なのよ。店の歴史とか流通がスゴイとか、そんなことは彼らにはきっとあまり問題ではなくて、目前のお客さんが美味しく味わっているかどうかが最大の気にしどころなの。だから『LiBARE』では、この美味しさが支えられてきたんですね、感服です。

最後に素敵な情報を。ここ『LiBARE』では不定期で期間限定商品が舞い降りてきます。今回は「すいかジュース」だったけれど、過去にはザクロの生搾りジュースが登場したこともあったのだとか!?それは…実に気になりますねぇ♡今後はどんな限定メニューが出てくるか期待が高まります!

店名:心斎橋ミツヤ
住所:大阪府大阪市中央区心斎橋筋2-3-21
TEL:06-6211-1028
URL:http://www.mitsuya.co.jp/
・元祖 あんみつ/660円
・クリームあんみつ/710円
・シャインマスカットのあんみつ(期間限定)/968円

店名:LiBARE
住所:大阪府大阪市中央区心斎橋筋1-7-1(大丸心斎橋店B1F)
TEL:06-6253-0555
URL:http://www.udon-o.com/
・フルーツ ミックスジュース/390円
・すいかジュース(期間限定)/530円

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